以前にこのブログでも紹介した、前ダイエー社長で現在マイクロソフト(日本)のCOOである樋口泰行さんに早稲田大学に来てもらって、リーダー論を語ってもらった。
樋口さん本人は大阪大学→松下電器→ハーバードビジネススクールとエリートコースを歩んできたわけであるが、松下電器時代に溶接などの現場を経験し、実は現場が大好きで気取らないリーダーである。
ダイエーの社長時代の話が数多く出てきたが、その中では全店舗の店長に秘書を通さず、自分で直接電話したとか、閉鎖店舗が50店以上あったそうだが、全店に閉鎖直前に人を連れずに自分で乗り込んだとか、随所に彼が現場を大切にしていたことの証となる話があった。
実はこの話を聞いて思いだしたのが、CoCo壱番屋というカレーショップの創業者である宗次徳二さんの話である。彼は、自分のカレーチェーン店を日本全国、覆面で見て回って、実際に食べてみて、サービスを見て、必要に応じてフィードバックをしていたそうである。同業の経営者が毎日高級な食事をしているのに対して、自分はカレーを毎日食べ続けたという話を思い出した。そうすることで、チェーン店全体の味の質やサービスのレベルを維持してきたのだと思う。そうしたことに積み重ねが全国で1000店を越えるビジネスへとつながっているのに違いない。地味であるが、そう簡単にまねの出来ないことである。樋口さんの現場重視も、これに似たものがあると感じた。
これ以外に、記憶に残ったコメントが2つあった。
一つは「日本の課題は頭がいい人が現場でなく本社などの間接部門に行きすぎることだ」。ビジネススクールの学生に「現場を経験してこそ、人としての厚みが出てきて良いリーダーになれるから、現場に行きなさい」と勧めていた。
次に、彼はコンパックでの事業責任者、HPとダイエーでの社長を経験して、「直感的に、この人には下に2-3人しかつけられない、この人なら50人は大丈夫、この人は500人つけられると分かるようになった」と語る。すごいことだ。
決して人を威圧するタイプのカリスマではないが、じわりじわりと自分の考えを押し通せる強い信念を持ったリーダーである。英語で 言うと、"low-key" タイプのリーダーである。
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