早稲田のMBA、リーダーシップの講義の最終回に登場してもらったリーダーは三菱UFJ証券の取締役投資銀行本部長の中村昌義氏である。彼は元々三菱銀行を飛び出して、リーマン・ブラザーズやモルガンスタンレーでやり手のM&Aバンカーとして業界に名を馳せた、知る人ぞ知るM&Aの専門家である。
その彼が、どういう訳か昨年から古巣の三菱UFJ銀行グループに戻って、和製投資銀行のトップとして頑張っている。
その中村さんに日本のM&Aの現状と将来展望について語ってもらった。この話自体も、もちろんおもしろかったが、さらに興味深かったのが実際にM&Aに20年以上携わってきた経験から来る彼のプロフェッショナルとしての迫力と哲学の部分だった。
たとえば、「どんなM&AがよいM&Aで、どんなM&Aが悪いM&Aか?」という質問に「M&Aに良いも悪いもない、M&Aが成立したかしないかしかない。売る側には売る側の理屈があり、買う側には買う側の理屈・事情がある、それを第三者が良い悪いを言うのはおかしな話だ。M&Aが成功だったか、失敗だったかは歴史が証明してくれるだろう。」と答えていた。うーん、なるほど。しかし、普通ここまで言うか・・・。
また、日本の社会が持つ変革への抵抗、あるいは法律の規制などの苦労を身にしみて感じてきたものだけが持つ、独特の雰囲気を漂わせていた。
今後は伝統的日本企業でもこうしたタイプの経営者が増えてくるのだろうか。
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内田先生、いつも楽しみに拝見させていただいております。
中村氏の主張は大変ユニークなものですね。
銀行の資金回収 VS 株主の投資効率 という図式に当てはめると、だいぶ銀行よりで、株主サイドの利害が無視されかねない危ない意見にも思えますが・・・・