電話機のビジネスモデル
引っ越しに伴い電話機を買い換えようと思って近所にあるY電機を訪れた。
以前にもシャープの電話機を使ったことがあり、かかってきた電話が誰からのものかを音声で知らせてくれる上に、着信履歴などが完備しており、今回もシャープにしようと決めて訪店した。
目指す電話機は親機以外に子機が2台ついているタイプのもので、下記のような価格で売られていた。子機1台なら13,800円、2台ついたものが21,800円だ。
結構安いなと思ったので、これにしようと店員にお願いした。うちでは家族も多いので、付属の子機以外に後2つ、合わせて4つの子機を必要とする。そこで後2つ子機を買い足したいのだがと言ったところから話が妙なことになっていった。
まず追加の子機はいくらかというと定価では1台19,950円だという。高いなと思って割引価格ではいくらかと尋ねると19,000円というではないか。ほとんど割引になっていない。これはまさに付属品で儲けるプリンタのビジネスモデルと一緒だ。2台子機を買ったら38,000円だ。合計で59,800円もかかる。これはいくら何でも高い。
子機2つついた親機が21,800円で1台しかついていないものが13,800円という事は、差額の8000円が子機の価格と言うことになる。これが子機だけ買うと一台19,000円だ。2倍以上である。
そこで誰もがひらめくだろうと同じ事を考えた。2台子機を買うより同じ電話機をもう一台買った方がはるかに安い。なぜなら子機2台ついて21,800円だからだ。合計で、43,600円ですむ。16,200円も得だ。
そこで店員に同じ物を2つ買って、親機を一台使わずに一つの親機につないで使いたいが可能かと尋ねると、自信満々に出来ませんという。以前、子機を後から買って増設をしたことがあるので、その経験から、子機を新しい親機に登録し直して使いたいというと、これまた自信満々にそれは出来ませんと言い切る。どうして出来ないのかと尋ねると、メーカーの方で出荷時にこの子機はこの親機と紐付けしてあるので出来ないのだと言い張る。いくら何でもそんなバカなこと思ったが、あまりに自信満々なので、メーカーに確認してから購入することにして、いったん家に帰った。
早速シャープのお客さま相談室に電話して効いてみると、やはり別の子機はもう一方の親機の増設用子機として使えるとのこと。ただし、登録し直す必要はある。これはたいした手間ではない。一安心。
それにしても、あそこまでかたくなに言い張るY電機の店員は何を考えているのだろう。もし店員が自分に自信があって間違いないとしても顧客心理を考えれば、メーカーに確認してみますくらいのことをした方が顧客満足は絶対上がるはずだ。ましてや今回のように顧客の方が正しいのに嘘を教えて、顧客が彼の言ったことを信じてほぼ定価で子機を買ってしまった人が後から真実に気がついたとしたら、その人はどう思うのかと言うことを考えないのであろうか。(このあたり、本題から少し脱線しています)
そもそも最近は固定電話を使っている人が減っている上に、ファックス機能のついたものを買う人が多いので電話機はあまり売れないのかも知れない。それにしてもなかなか良くできたメーカーの儲かるビジネスモデルだ。いったん電話機を買った後に、他の部屋にも子機を置きたいなと思うことは良くあるはずだ。ところが、その際別のメーカーの子機を買うわけにはいかない。互換性がないからだ。そこで、メーカーの方は子機の価格は自由に設定できる。他のメーカーに逃げる心配がないからだ。
プリンタの純正インクと全く同じ考え方だ。さらに、電話機本体は何種類も違うモデルがあるのに、子機の方は一つか二つしかない。量産効果でコストも安くつく。なかなか良くできていると思ったが、メーカーから見ると親機を持った高く売りたいのに、メーカー館の競争が激しいので否応なしに価格競争に巻き込まれているだけかも知れない。
さあ、買い直しに行くかな?それとも験が悪いからやめるかな?
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内田先生、大変ごぶさたしております。
電話機のビジネスモデルがこんなことになっているとは知りませんでした。
シャープ以外にパナソニックも同じような戦略をとっているんですね。
コードレス電話機を作っているメーカーで非常にマイナーですがユニデンというメーカーは、親機が9,000円、子機が5,000円という非常に良心的なぷライジングをしています。また親機と子機の抱き合わせ販売のような戦略もとっていません。
http://www.uniden-direct.jp/product/ct.html
ただ先生の場合、シャープの電話機にネットワーク外部性があるとのことなのと、子機が合計4台必要(ユニデンは親機と子機合わせて最大4台まで)とのことですのでユニデンの電話機はマッチしませんね。もちろん単に価格だけで選んでいらっしゃるわけではないと思いますし・・・。
さらに余談ですが、10年以上前インターネット接続にISDNが使われていたときにはNECのISDNのTAはPHSを子機として登録することができたので、購入時の価格がほとんどただのようなPHSを契約して子機として使うということをしたことがあります。(確か当時いくつかのコードレス電話機がPHSを子機登録することができたように思います。)
澤田さんへ
コメントありがとうございます。
結論から言うと、電話機を買い換える気が失せて、今ある電話機を使い続けることにしました。メーカーの思うつぼにはまるのがいやだったというのが一番の理由かな。
そういえば、昔PHSが子機で使えるという電話確かにありましたね。覚えています。
また、社内では無料で使える内線電話、外線では普通にPHSとして使えるという触れ込みでPHSを積極的に販売している会社がありましたね。懐かしい!
内田先生、
返信ありがとうございます。
電話機を新しくしないというのは正解だと思います!
PHSを子機にする電話機をご存知なのはさすがです。ガジェット好きにはちょっと心くすぐる機能でした。
ちなみにうちの会社は内線にPHSを使ってるのですが、先日とうとうNTTドコモからPHS子機の最終注文依頼が来ました。近い将来PHS子機の修理も対応してもらえなくなると思うのですが、うちの会社の音声通信が今後どうなってしまうのか不安です。