昨日に引き続き、非効率な機能を保持したままの業界の話である。
機能分化が果たされておらず、未だに商流・物流・情報流が分離できていない業界にも異業種格闘技が発生する可能性が高い。
たとえば自動車業界を考えてみよう。
皆さんが車を買うときにどうするかといえば、多くの人はまず自動車ディーラーに行ってみる。そして、そこで実車を見たり、カタログをもらったり、ショールームにいる係の人に話を聞いたりする。興味がわけば、再度日を改めてセールスマンから詳しく話を聞いたりするし、あるいは別の自動車メーカーのショールームをのぞいてみたりする。そして、いよいよ買う車が絞られてきたら、目当ての車が置いてあるディーラーのショールームを訪問して、そこで希望の車を試乗したり、セールスマンと価格その他の条件交渉を行う。その際、ローンが必要であれば、ディーラーでローンを申し込むことも多い。また、買い換えの場合は、自分が今持っている車を下取りという形で買い取ってもらう。また、カーナビゲーションやアクセサリーなどもそのディーラーで購入することが多い。
やっと晴れて車を手に入れると、その後には定期点検、車検、故障の修理、事故の修理などが必要になり、これもディーラーに持って行けばすべてやってもらえる。
すべてを一つのディーラーですますことが出来、一見効率的に見えるが本当にそうだろうか。
よく考えてみると、複数のメーカーの車を比較購買するためには、それぞれのディーラーに出向いていかなければならず、下手をすると週末の半日を一つのメーカーでつぶすことになる。3-4社ディーラーを回ることにすれば、確実に土日がすべてつぶれてしまう。また、自分の乗っている車の買い取りは、もしかしたら買い取り専門業者の方が高く買ってくれるかもしれない。また、せっかく新車を購入しても、その日に車が手にはいることはない。ナンバー取得などの手続きも必要だが、それ以上にメーカーからディーラーまで運ばれてくるのに時間を要するため、実際に手に入れるまでに2週間から1ヶ月くらいかかることはざらである。そして納車の日は、セールスマンが自宅なり会社まで持ってきてくれることもあるが、こちらからディーラーまで出向いていくことも多い。
何が言いたいかと言えば、自動車業界の仕組みはメーカー側の効率重視ではあるが、消費者視点あるいは全体最適の視点から言うと無駄が多いのである。
そうなると、消費者の購買行動も情報収集、実車を見る&試乗、受け取り、アフターサービス、それぞれ別々に最適化を図った方がよいかもしれないし、そんな企業がたくさん出てきてもおかしくないと言うことになる。
たとえば、情報収集は、ネットや情報媒体(メディア)を使って、自宅にいながらにしてすべてのメーカーを一度に比較する。実車を見るのはもちろん出向いていく必要があるが、これも一カ所で各メーカーの車を見てみたい。また、出来るだけ多くの実車があって試乗できることが望ましいが場合によっては飛行機のシミュレーターのような装置でも良いかもしれない。今乗っている車の買い取りは自宅まで来て査定してくれる中で一番高いところに売ろう。また、支払い方法はディーラー、銀行、クレジット会社などのローンが横比較できるとうれしいが、これは別にリアルの店舗でなくても全くかまわない。ネットで十分だろう。納車は出来るだけ早いほうがよいので、ディーラーからではなくメーカーから直接届けてもらいたい。また、サービスを受けるのはいざというときのことを考えると自宅から一番近いサービス拠点で受けたいために、実際に車を買った店とは別の店や場所でもかまわない。早く、こういう日が来ないかな・・・。
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確かにディーラでは系列が決まっていてそこ以外のメーカーの情報は分かりません、が、修理をするモータースへ行くとメーカー各社のカタログが置いてあります。カタログの代わりに、配信されたものを束ねるようにすればそこの店ではweb上で検索できます。そうすれば、各PCからもできます。こうなってないのは不思議です。
smile&happyさんへ
自動車業界というのは、アメリカでもそう簡単に変化せず、なかなか変えるのが難しい業界のようです。
しかし、消費者視点で見ると、ディーラーをネット上であらかじめ選択できるAutobyTelや、一カ所で複数のメーカーのディーラーをまとめてみることが出来るAuto mallなど、少しずつ変化の兆しが見られるようです。