皆さんはマッシュアップという言葉をご存じだろうか。インターネットあるいはWeb2.0の世界で使われる言葉であるが、今後のビジネスの方向性を示唆しているので紹介したい。元々はディスクジョッキーが2つ以上の音楽を組み合わせて新しい曲を作って流すことから来ているそうだ。
難しいご託を並べるより、現物を見た方がわかりやすいので、是非下記のサイトにアクセスしていただきたい。
アメリカの不動産サイトでZillow.comというおもしろい(実は役に立つ)サイトがある。
http://www.zillow.com/
使い方は簡単で、2つあるウィンドウに自分が調べたい場所の住所を入れるだけである。そうするとそのあたりの不動産価格がいくらかを即座に教えてくれる。
早速やってみよう。
まず右側のCity,State or ZIPと書かれているウィンドウに自分の好きな都市を入れてみてください。
ここではシリコンバレーの中心地で、スタンフォード大学のある街パロアルトを入れてみます。具体的には州も必要ですので、「Palo Alto, CA」と入力します。
そしてGoを押します。
するとグーグルアースと同様な衛星写真の地図が現れ、その周辺の不動産価格が表示されます。PaloAltoあたりの一軒家は124万ドルということが分かります。約1億5千万円ですか、結構高いですね。ここまでは、フーンという感じで大して驚かないかもしれません。
次に左上にあるブランクのウィンドウ(Address or Street or Neighborhood と書かれている、先ほど入れた街の名前の左隣のウィンドウです)。ここに住所を入れます。ここでは仮に「227 El Dorado」と入れてみます。実在の住所であれば何でも結構です。そして同じくGoを押してみてください。
そうすると驚くなかれ、まさに入力した住所の家の価格が出るのです。縮尺は最大まで大きくした方がよく分かります(左上の虫眼鏡の絵にある+をクリックする)。$2.44Mと出ると思います。この家の価格です、日本円にすると約3億円の家と分かります。しかもおおよそ家の形や敷地の大きさまで分かってしまいます。
誰ですか、自分の知り合いの家の住所を入れて価格を調べてみようなんて思った人は、でも残念なことに日本版はまだありません。
これが単なるのぞき趣味に終わらず、なぜビジネスに重要かは明日以降にお話しします。
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ご参考まで、先月のFortune誌で、Zillowについての大きなカバー記事がありました。http://money.cnn.com/magazines/fortune/fortune_archive/2007/02/19/8400262/index.htm
去年東海岸で家を買いましたが、その時にZillowをよく使っていました。
Jさんへ
Fortuneの記事の紹介ありがとうございます。
早速読んでみたいと思います。
また実際にZillowを使っていたとのこと、どんな風に使っていたのか教えていただけるとうれしいです。
今からちょうど1年前、転職に伴う住居探しをしていました。買うか賃貸にするか最初は迷っていましたが、たまたまつけていたTVのニュースでこのZillowが偶然取り上げられており、それがtipping pointとなって一気に購入に傾いていったのを覚えています。
私の場合はアメリカ国内での引越しということで、実際に現地にいながらZillowを使っていました。目的は、やはり相場観・値段の手頃さ感覚の把握です。
ある建売物件を気に入ったので、その近所を車で回りながら比較対象と思える他の物件を数多く探し、住所をメモします。ホテルに戻ってZillowで価格を調べ、売主の希望価格の位置付けを「ベンチマーキング(?)」します。この情報を元にエージェントの方に私の考えを伝え、売主と交渉してもらいました。
当時私のエージェントはZillowを知らなかったようです。ですがこの作業のおかげで、こちらが一定以上の情報・分析を持った上でエージェントと対話しますので、通常以上の視点・情報を引き出せました。例えば見た目や大きさ・古さ・間取りなどがよく似た物件でも、どのような理由で価格に差が生まれうるのかなどについて、一歩踏み込んだ見解を話してくれました。
もう少し付け加えますと、Zillowの情報のおかげで心理的に購入がしやすくなりました。私が結局買った家はその周辺エリアでは明らかに価格が高めでした。ですがZillowをいろいろと見ていると、同じ区画内ででも個々の家によって価格がかなり異なることも多いということもわかり、それで安心できます。要は必ずしも吹っかけられてはいないと。
値ごろ感についてもう一点。Zillowは基本的に客観的なpublicly available informationを基に作られています。(なので一応プライバシーの問題は(気持ちの問題を除けば)発生しないようです。) そうした客観情報(面積や部屋数、立地など)はもちろん重要ですが、同時に自分にとって大事な「value proposition」が見出せれば、相場より高めの価格でも納得できるということもよく分かりました。
具体的に私の場合は売主がこの家を建てた人で、追加作業や修理などを快く迅速にやってくれる世話好きな方であったという「定性情報」がひとつの鍵でした。(先日ご紹介したFortuneの記事への読者コメントにも同様な視点がありました。)
余談ですが、最近ではアメリカの職場でも、例えば上司の家の値段をZillowでチェックしてはひそひそ話をしたりということがもちろんあります。Googleと同様に動詞として"Let's Zillow his house."などと言います。