早稲田ビジネスクール「戦略とリーダーシップ」論に登場の今週のリーダーはNTTドコモの常務取締役辻村清行さんだった。
辻村さんは現在プロダクト&サービス本部の本部長をしており、ドコモのi-mode、音楽配信などのサービス並びに新しい携帯電話の開発・マーケティングなどを担当している部門の責任者だ。
講演の内容は、ドコモがこれまでやってきたことの足跡をたどると同時に今後のモバイルが目指していく世界について、単なる一企業の枠を超えて、世の中を変えていくのだという強い自負と共に話してもらった。
ドコモが携帯電話でナンバーワンになれたのは運が良かったという世間の見方があるが、実はそうではなくて彼らが携帯の市場を創り出し、ユーザーに新しい使い方を提案し実現していったイノベータでありパイオニアであったということがよく分かるプレゼンテーションだった。
辻村さんは実はドコモ創業時からのメンバーで、当初の社員(と言ってもNTTの一部門だったが)は7人しかいなかったそうである。と言うわけで私は勝手に7人の侍と呼んでいる。
講演が終わった後の質疑応答もたくさん出たのであるが、最後の質問が大変印象に残った。それは、創業当時の熱い思いをどうやって現在の大勢の社員に伝承するのかという質問だった。辻村さんもそれが今の課題であり、何とかしたいと思っているのでコミュニケーションに努めていると答えていた。しかしそれだけで解決するのは少し難しいのではないかとも感じた。と言うのも多くのベンチャー企業で似たような悩みを抱えており、なかなか有効な解決策が見つかっていないからである。豊かな家に生まれた子供に親が貧乏だったときのことを思い出させるような難しさがあるためだ。同じような悩みを持ちながら、昔のカルチャーをそれなり維持しているホンダとDNAの継承に苦しんでいるソニーの両方がある。ドコモはどちらになるのであろう。私としては是非成功してもらいたいと思っている企業であり友人である。
先日も別のところで触れたが、辻村さんはドコモの取締役で本部長という要職にありながら、東工大で先日博士号(PhD)を取ったばかりという勉強家でもある。
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本当に素晴らしいプレゼンテーションでした。
成功している企業の共通点は、「変化対応業」であることがわかりました。外部の変化に対し、頭だけでなく、身体で感じた小さな変化を、少しづつでもまずは検証してみるという姿勢が必要なんですね。情熱溢れるその先取の精神に、先週の中田横浜市長の講演とともに2週連続で、圧倒されてしまいました。
戦略とリーダーシップの講義を通じて、左脳思考(ロジカルシンキング)以外の部分の重要性を感じてもらえるとうれしいです。