旭川にある話題の動物園、旭山動物園に行ってきた。噂に違わぬ、優れた動物園だった。実際に会ったわけではないが園長の優れた経営感覚に感心して、帰ってきた。というのも、飼育している動物はどこの動物園にもいるありふれた動物ばかり、それなのに展示というか、見せ方一つで一大エンターテイメントに仕上がっていた。
まず、ポリシーが動物のあるがままの姿をなるたけ見せようという姿勢と、それをどのようにすれば見物客がうまく見ることが出来るかという視点で組み立てられている。
たとえば、我々が最初に見たのはキリンだったが、キリンの頭の高さと我々の目の高さがちょうど同じになるように、キリン園が深く掘られている。ちょっとした工夫で、普通の動物園なら見上げないと見られないキリンの頭がほぼ横でよく見ることが出来るようになっている。
さらに、たとえばアザラシの所では、飼育員がアザラシにえさをやりながら、アザラシがアシカやオットセイとどんな点が異なるかを実演で示してくれたりして、勉強しながらエンターテイメントを楽しめる。こうした、展示方法を「もぐもぐタイム」と称して、各動物のところで時間をずらして行っており、長時間いても飽きない仕組みになっている。
また、そこかしこに手書きの説明文が置かれており、それを見ると動物の特徴や習性がすぐ分かるようになっており、動物に対する親近感が湧く。売れ行きの良い食品スーパーや書店の手書きPOPと全く同じ発想である。
さらに園内には飼育員以外の係員がとてもたくさんいて、分からない質問に答えてくれたり、園内の案内をしてくれる。さらにはストロボ禁止の命令に従わない人に優しく注意を促したりしている。まるで、ディズニーランドのホストのような感じで、働いている人が活き活きしているのを目の当たりにしただけで、こちらまで楽しくなる。きっと、ボランティアやシルバー人材をうまく活用しているのであろう。
一言で言えば、ありきたりの材料で、来る人を楽しませる仕組みが、きわめて低コストで実現しているのである。滅多にいない珍獣を高額で購入して客を呼び寄せている動物園とは全く反対の路線であり、子供連れだけでなく、大人だけのグループや若いカップルが多いのも大変印象に残った今回の旭山動物園訪問だった。
ペンギンの所ではペンギンのかわいらしい動作を動画に納めることに成功したのでアップしておく。
また、ヒグマの所では発情期のカップルが戯れているところを間近で見ることが出来たので、こちらも画像をアップしておく。(けんかしているのかと思った。)
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遅ればせながらですみません。確か、旭山動物園は入場者数で上野動物園を抜いたことでも話題になっていたと思います。最近、動物園や水族館が脚光を浴びていますが、ビジネスモデルはやはり入場者数をいかに増やか、一度の来場ではなく、リピーターを増やすということなのでしょうか。どこかの水族館が、夏休みに子供を集めて一晩夜の水族館で寝泊りし、夜、どのように魚類が生活しているのかを見せる、体験ツアーを行っていることが紹介されていました。テーマパークが衰退してきているなかで、動物達とのふれ合いを通じた新しいエンタティメントと収益モデルを構築する機会かと感じています。
義堂さんへ
その通りです。上野動物園をしのぐ入場者数を、人口がわずか30数万人の旭川市にある動物園が達成したというので話題になりました。
これが、私が興味を持った大きな理由です。そもそも総人口という大きなハンディを持った動物園の逆転の戦略、いったい何なのだろうという興味でした。
行ってみたら、珍獣がいるわけでないのに、おもしろいという仕組み作りに成功している。しかし、リピーターがどこまで行くかは、結構厳しいかもしれないと感じた、しかし日本の総人口が訪問するのに、1年200万人としても60年かかるとすれば、リピーターが行かなくても十分成り立つ計算になる。さて、どうなることやら・・・。
ちなみに動物園は、そのエリアの人口と同じだけの入園者数があると成功といわれるらしい。その場合は年36万人でいいということになる。実際は百数十万人の入場者があるということだ。