仕事で新潟に行ってきた。そこで素晴らしい経営者に出会った。新潟県三条市に本社を置くスノーピーク(SnowPeak)というテントやクッキングテーブルなどのアウトドア用品メーカーの山井太(とおる)社長だ。パネルディスカッションを一緒に行った。事前に会社案内をいただいたのであらかじめ目を通したのだが、会社案内だけでわくわくする感じ伝わってきた。そこでこれはもしかしたらと思い、実際お会いしたらすばらしい経営者だったというわけだ。
不勉強でスノーピークという会社のことを知らなかったのだが、アウトドア愛好家の間では熱烈なファンが多いことで知られているそうで、彼らは『スノーピーカー』と呼ばれるらしい。山井社長自ら、スノーピーカーは宗教だとよそで揶揄されると苦笑していた。それくらいの固定客がいると言うことは素晴らしいことだ。
パネルディスカッションのテーマはステークホルダーマネジメントだったが、山井氏は顧客を満足させることがスノーピークの優先順位ナンバーワンで、決して株主ではない。しかし良い製品を作って、顧客から支持されれば結果として利益につながり、株主を満足させることが出来ると言っていた。実際、極めて高い利益率らしい。
何が素晴らしいかと言えば、自分たちがユーザーとしてこんなものがあったらいいなというものを作っており、しかも品質のためにはコストにこだわらない。最高の材料を探してきて、それで安全で優れた製品を作るのだという。だから内の製品は高いと自信を持って自慢している。
当日もスノーピークの環境に対する取り組みについて聞かれたときに、さりげなく内は永久保証ですから商品がゴミになりません。それが環境対策ですと言い切ったところにすごさを感じた。
要するにポリシーがしっかりしている。それを山井さんは心意気と称していた。こうした考えはきっと社員にも徹底しているのだろう。
ミッションステートメントは一日に百万回繰り返すと言ったから、その言葉からも徹底度がわかる。
年間に自社製品のユーザー5000人に会うと言っていた。世界広しといえども社長でそこまでやっているのは自分くらいだろうと言っていたが、すごいことだ。それを通じて顧客の声をつかまえて次の商品開発に活かすそうだ。社長の義務としてやっているのか、楽しみでやっているのかと聞いたら、後者だと明快に答えてくれたのもうれしい。
東京に帰ってきてから、バイクに乗る娘に聞いたらスノーピークのことを良く知っていた。まさに知る人ぞ知るらしい。
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内田先生
スノースピークの企業理念「自分たちもユーザーである」というのは
・顧客にも
・社員にも
誠実な姿勢だなぁと感じました。
自分がユーザーであれば、いい加減なものづくりはできない訳ですから、自ずと品質やサービスが高くなるような気がします。
この企業理念(姿勢)の実践が、「宗教」と言われるほど顧客を惹きつける(リテンションというか)ファクターのひとつなんでしょうね。
企業理念、
・しっかりと定義されていて、
・社員が納得していて
・実践されていて
・徹底して風化させない
これが完璧にできれば、どの企業もエクセレントカンパニーですね。
目的の明確なベンチャーなどはこの継続が可能かもしれませんが、実践出来ていない大企業などがこれをやるのは、本当にタフな仕事だと思います。
少なくともトップマネジメントがこの山井社長や元ダイエーの樋口社長のように、現場に理念を徹底する人であったら、組織を変える大きな力になるんだろうと思います。
見習うのは簡単ですが、実践の道のりは相当ハードなんでしょうね。
話はそれますが、
内田先生のサイトから、色々な世界や人、考えを知ることが出来るのは素晴らしい事です。
こうした情報から行動や考え方に影響を与えられる人も沢山いると思います。
これを可能にした技術(ネット)とそれを利用した伝え手の双方が、社会貢献をしているんですね。
たろさんへ
私のブログから、世の中のいろいろな経営者やビジネスマンの考え方や人となりに触れていただいて、少しでも何かをつかみ取ってくれると大変うれしいです。
経営者の大事な要素に「信念」があると思います。いつか、解明したいリーダーのスキルの一つです。
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