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西堀榮三郎「創造力」

若干僭越ではあるが、長年のコンサルタント経験を通じて、これは経営者に読んでもらいたいという本に何冊も遭遇した。その中から厳選してと言うと格好いいが、要は私の独断と偏見で20冊を紹介したいと思う。一部は経営コンサルタントへ薦める本と重複するがなるたけ別の本を選んでいる。

記念すべき1冊目は、西堀榮三郎著「創造力」(1990年、講談社)である。

Souzouryoku

ちなみに西堀榮三郎さんは、TQC活動などで知られる学者でもあるが、同時に南極越冬隊長やヒマラヤ登山の隊長を務めた活動家でもある。念のために裏表紙にある彼の略歴も載せておく。

Nishibori

この本のすばらしいところは、人間の創造力というのは誰にでも備わっているもので、それは気持ちの持ち方や有り様から出てくるところが大きいと言うことを教えてくれるからである。
素人の機織り娘たちが、仕事がしたい一心で自動織機の使い方をマスターして、先輩たちを追い抜いてしまった話などは涙なしには読めないくらい感動した。
あるいは、南極で燃料を遠くから運ぶために、包帯と氷でパイプラインを作った話などは、思わず「うーん」とうなってしまった。

読み物としてもおもしろいが、企業経営をする上での新しいアイデアの出し方・生かし方、あるいは改革を行う上でのリーダーのあり方など、学ぶところの多い本である。
この本を読んで以来、私は経営者の方々に社内にエジソンやニュートンのような人を期待してはいけない。もちろんそうした英雄がいればラッキーであるが、そんな幸運はまずあり得ないし、幸運を頼りにした経営はすべきでない。それより、普通の人たちが知恵を出し合って新しい技術や製品、問題解決の方法を生み出していく仕組みを作る方がよほど効果があると説いている。

BCGの後輩たちにも私のコンサルタント人生20年強の中で、一番役に立った本として紹介したが、残念ながら今は絶版になっている。こんなに良い本が絶版になっているというのも悔しいがこればかりはどうしようもない。
でもどうしてもみんなには紹介したいと思い、自腹で500冊を購入した。というのも、本屋に並べることは出来ないが、まとめて買ってくれるのなら再版してくると講談社が言ってくれたからである。

ということで、本屋では購入できない本であるが、ブログの読者で企業経営に携わっている方には無料で進呈したいと思っているので、メールをください。先着100名様まで、郵送いたします。送付先の住所、会社名、役職、氏名、連絡先などお忘れなく。締め切りは9月末日とします。
メールアドレスは
creativity@kaz-uchida.comです

ビジネスマンやブログの読者でどうしても欲しいという方には抽選で50名の方にこの本を送りますので、これもメールをいただければ幸いです。こちらはとりあえず、氏名&メールアドレスで結構です。こちらも締め切りは9月末日です。
こちらのメールアドレスは
blog@kaz-uchida.comです。

関連記事

  1. エンデュアランス号漂流
  2. 創造力復刻
  3. 創造力の感想文
  4. 創造力(続き)
  5. 創造力感想文(続き)

コメント

  1. 西堀栄三郎「創造力―自然と技術の視点から」

    西堀栄三郎「創造力―自然と技術の視点から」
    BCGのコンサルタントとしても著名な、早稲田大学大学院の内田教授からお送りいただいた本である。まずは御礼を述べるとともに、感想を書くのが遅くなったことをお詫びしたい。プレゼントの経緯は以下。内田和成のビジネスマインド: 西堀榮三郎「創造力」
    僕がこの本を知ったのは、確か、同じくBCGの御立尚資氏「使う力」だったと思う。僕はこの西堀栄三郎という人は知らなかったのだが、…

  2. 「創造力」をお送りいただき、ありがとうございました。お礼申し上げます。
    遅ればせながら、本の感想をWebにアップしましたので、お知らせいたします。
    http://dogs.shiftweb.net/diary/?date=20071219#p02
    なぜかトラックバックがうまく届かないようなので、コメント欄にて連絡します。
    本当に、ありがとうございました。

    • 内田和成
    • 2007年 12月 26日

    sota-kさんへ
    せっかくトラックバックしてもらったのにうまくいかないようで済みません。こちらでも調べてみます。
    創造力、気に入ってもらってうれしいです。御立さんへも私が勧めました。というより、当時のBCGのコンサル・お客さんみんなに勧めた本です。

    • 義堂
    • 2007年 12月 28日

    大変遅くなって申し訳ありません。今年読んだ本のなかで、やはり最後を飾るのは『創造力』と思いコメントさせて頂きます。
    一番心に残ったのは『私は技術者になりたかった・・』という文章でした。先生になりたい、医者になりたい、政治界になりたいなど、皆さんそれぞれの思いで職業を選ばれると思いますが、会社勤めをすると、こんな仕事をしたい!ということはあっても、自分は何になりたい・・という気持ちが段々と薄れてゆくように感じます。組織に属していても、自分は何になりたいのか・・という気持ちをも続けることが、自分の仕事に関する『志』に繋がるのではないかと感じました。
    皆さんからもリーダーシップについてコメントが寄せられていますが、アムンゼン隊とスコット隊の対比はとても興味深いものでした。 西堀先生が隊長として登頂を目指されていた時、不幸にして隊員の方がお亡くなりになった際、リーダーとして取るべき責任はなんなのであろうか。自責の念とともに、リーダーとしての在り方について逡巡されているお気持ちが痛いほど判りました。
    最後にもうひとつ心に残ったのは西堀先生のお顔です。尊敬すべき年齢を重ねられ、厳しい中にも慈愛に満ちた目線で周りの方を見守られていたように感じます。矍鑠とした中にも気品があって、このような日本人が大物であったのだろうと、心が励まされると同時に暖かくなりました。
    大変素晴らしい本をお勧め頂きありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎えください。

    • 内田和成
    • 2007年 12月 28日

    義堂さんへ
    創造力、気に入ってもらって良かったです。
    確かにリーダーの真価は逆境でこそ問われるものですね。
    六然にある「得意澹然、 失意泰然」という言葉が好きです。
    義堂さんも、この本で学んだことを次は是非仕事に活かしてください。

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