先日、仮説思考について雑誌の取材があった。その中で、直感と仮説は違うのかという質問があった。
実はこの質問は、仮説思考を書いた当初から良くある質問で、仮説を思いつくというのは直感で思いつくのと何が違うのかとか、あるいは我が社の若い社員が何の根拠もない思いつきを仮説と称してぶつけてくるので、それは仮説ではないと言うことを教えてやってくれというのまで様々である。
実は、私は思いつきでも、仮説は仮説であると思っている。いくら経験に基づいた深い仮説でも、あるいは周到に用意し、分析した仮説でも、当たらなければたいした仮説ではない。
では、どんな思いつきでも仮説なのかというとそれは違う。
①検証できない仮説は仮説として価値がない
もちろん、検証できなければそもそもその仮説が合っていたのかどうかも分からない。しかし、それ以上に大事なことは、検証することによって始めて仮説は進化させることが出来るからである。したがって、たとえ間違った仮説でも、それがなぜ違っていたのか、どこを直せば次に使えるのかが分かる仮説は良い仮説と言える。
②さらにいくら当たった仮説でも、同じような課題に直面したときに再度適用できないような仮説では、単なる思いつきで使えないと言われてもしょうがない。逆に言えば、似たような問題が起きたときに、この間の仮説を使えば解決するかも知れないとか、この間こうだったから今回もこうなるのではないかといったふうに再活用できることが大事になる。複製ができることとも言えるかも知れない。
ということで、思いつきや直感が仕事や組織で使用に耐えうる仮説となる条件とは「再現性」と「検証できるかどうか」になる。
本題には関係ありませんが、今でも仮説思考について、雑誌が興味を持っていてくれるというのはありがたいことです。来週、また仮説思考についての取材があります。
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先週、海外に出張していたのですが、実は出張前に報告書を作成していました。私なりの仮説思考の実践でした。
結果は見事に私の仮説は外れました。が、事前に仮説を立てていたおかげで、軌道修正が短時間でできました。さらに仮説が外れてくれたおかげで深堀りをする事もできたと思っております。
仮説思考の大事さと共に、間違った仮説を捨て軌道修正する大切さを実感しました。
ビジネスの根幹スキルとなる『仮説思考』を読んで
購読しているブログの一つで『内田和成のビジネスマインド』というのがある 筆者の内…
zuKaoさんへ
仮説思考が仕事に役立ってよかったですね。
先週土曜日は、名古屋で仮説思考の講演をやりました。
若いビジネスマン対象でしたが、この人たちが仮説思考を使いこなして、私が若い頃陥ったような情報洪水の海におぼれないと良いなと感じました。
今、ゼミの輪読で「仮説思考」を読ませて頂いております。
学生時代は時間もあり、失敗も許されます。
ですから、ついつい網羅的に情報を収集し、(無駄な分析も含めて)分析を行い、仮説を導出していました。
そんな折、この本を読み、仮説思考で研究を進めたら、もっと効率的に、かつ深い視点で物事をつっこむことができたのではないかと思います。
なので、これからは意識して仮説思考を実践したいと思います。
しかし、そうは言うものの、網羅思考に慣れてしまうと、本で仮説思考の方法が分かっていても、気づいたら、つい網羅思考になっている時がしばしばあります。
何か対策はあるのでしょうか。
よろしければ教えてください。
ゼミで仮説思考を読んでもらっていると言うことでうれしく思います。
ついつい網羅思考になってしまうということですが、ある程度調べないと不安でしょうがないと言うことはあると思います。それを放っておいて、少ない材料で答えを考えるのは、初めのうちは無理があるかも知れません。
その際の対策として、まず極めて少ない材料・資料・データだけで答えを考えてみてください。当てずっぽうで構いません。ただし、それを紙に書いてください。そして、その後はいつもの網羅思考で進めてください。そして、その結果は当然レポートとして紙に落とすと思いますので、その結果と、初期に書いた結論を比較してください。初めはズレているかもしれません、しかし繰り返すうちに最初に書いた結論と、いろいろ調べてから書いた結論があまり違わなくなります。そうなれば、仮説思考力が身についたと言うことになります。