大隈塾のゲストで紹介し忘れているのが、星野リゾート社長の星野佳路(よしはる)氏だ。星野氏は家業である軽井沢の星野温泉を近代的なリゾートに蘇らせることで有名になった人です。
星野リゾート
自社の再生で苦労したことは、客を呼んでくることではなく、人材を集めることだったという話が印象に残りました。
その後星野さんは日本各地でトラブルを抱えて立ちゆかなくなった温泉旅館やリゾートを次々と立ち直らせています。
その星野さんが語る温泉再生の話は企業再生の話に通じる大変実践的でためになるもので
たとえば
なかでも、印象的だった話は青森の古牧温泉の再生です。
そもそも場所の割に大きすぎる容れ物を作ったのが問題だったそうですが、いざ引き受けて再生させようと思ったときに、前からいる従業員に売り物に出来る古牧温泉のいいところをあげてみろと言ったそうです。
当然のように、温泉、四季、山や湖などの景観、地元の食材、お祭りなどが上がったそうです。ところが、星野さんに言わせるとそれらは日本の特徴であって、青森の特徴ではない。別の言い方をすれば、みんな東京にある都市型ホテルのミニ版を作りたがる。そこに日本の温泉旅館の問題点があるというものでした。
これにはなるほどね、と感心しました。
そして古牧温泉の場合は、青森の方言を売り物にしたそうです。これなら他の地方にはない特徴です。
さらにアイデアマンでもあるようです。たとえば、あるスキー場の食堂では「美味しさ保証カレー」というのを打ち出し、おいしくなかったら返金しますとやったそうです。当然のように、みんなはそんなことをしたら、まずかったから返金しろという人が続出して商売にならないと反対したそうですが、やってみたら、実際には3日目にようやく一人まずいから返金しろと言ってきただけだそうです。
それも言いがかりではなく、「ご飯がべたついている」というもっともなクレームだったので、現場マネージャーは自分の判断で炊飯器買い換えたそうで、星野さんはそれがとてもうれしかったようです。
このように星野さんは、ビジョナリーであり戦略家ですが、同時にオペレーション(人材掌握)にも長けた優れた経営者だと思いました。
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。