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生物模倣

最近、テレビや新聞でよく聞く言葉に「生物模倣」がある。

先日のテレビ東京ワールドビジネスサテライトでも特集されていましたが、シャープの研究所では専門の研究員が動物や昆虫の生態を調べて、それを家電製品に応用する研究が進められ、既に洗濯機やエアコンなどが実用化されているとこのことです。

たとえばイルカの高速遊泳の原理を応用した回転機に十字のおおきな突起と四つ葉のクローバー状の突起を持った「ドルフィンパル」を新開発して、従来の回転水流に加え、タテ方向に強力な水流を生み出し、洗浄力と節水性をさらに高めそうです。詳細については、次のブログが参考になります。
http://pika2.livedoor.biz/archives/3906383.html

他にも”アサギマダラ”という蝶の羽を応用している扇風機も発売されているそうで、これは通常の扇風機であれば、外周に行けば行くほど羽が大きくなりスピードも出ているので風力が強くなるが、逆に中心に近づけば羽が小さいため風力が弱くなる。
それを蝶の羽を解析することで、羽の形を工夫し中心部と外周部で風力にあまり違いがないように出来たそうである。均一な風が送られるだけでなく、効率が上がって節電になるという。
これ以外にもシャープの生物模倣の成果はいろいろあるようで、下記の広報資料が参考になります。
http://www.sharp.co.jp/corporate/eco/csr_report/ebook/ebookj2011/book_swf.html?startpage=76

あるいはグローバルニッチの合い言葉で知られる日東電工では天井でも壁でも、どこでも吸い付けるヤモリの足を詳細に解析し、それを応用して少ない面積で強力な接着力を持つテープを開発しています。
http://www.nitto.co.jp/tapemuseum/trivia/vol02.html
最先端のカーボンナノチューブ技術とヤモリの足の構造がコラボして出来たなんて、何か夢があって良いですね。

この生物模倣、英語ではバイオミミクリー (Biomimicry)と呼ばれるそうだが、古くからある概念だそうだ。たとえば、ヘリコプターの原理を提唱したのはレオナルド・ダヴィンチといわれているが、彼はトンボの生態からこの発想を得たと言われている。
しかし、ここに来て生物模倣がより注目を集めているのは、生物の構造を詳細に解析する技術とそれを人工物で再現する技術の両方が共に発展したせいではないか。

そうなると、次に来るのは自然界の法則を経営学に応用する手法であるが、こちらはまだあまり聞いたことがない。一時ブームになった複雑系などは、こうした発想に近いかも知れないが、原理を解明して経営法則や方法論にまで高めたとは言い難い。誰が先鞭をつけるか、楽しみだ。

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コメント

    • 山田 英二
    • 2012年 5月 13日

    ご無沙汰しております。最近やたらにエコシステム(生態系)という言葉を耳にしますが、ビジネスモデルを発育させる土壌みたいなものを指しているのだと思いますが、これも内田さんのご指摘の生物模倣の部類ではないでしょうか?

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