今日は異業種格闘技の具体例を紹介しましょう。昨日も取り上げたメガバンクとセブン銀行の話ですが、銀行にとってATMというのは本来の預金サービスを円滑に行うためのツールであり、銀行にとっては収益を生み出すものではなく、コストにしか過ぎません。元々、人手で行っていた窓口サービスが、人件費や店舗コストがかかりすぎるという理由で機械化されたことからも明らかです。
ところが、セブン銀行にとっては、このATMが収益源です。というのも彼らにとってはいくら自行の預金者を増やしても一人が預けてくれる金額は知れています。セブン銀行に数百万の預金を預けている人はまれでしょう。したがって、通常の銀行にとっての預金者から調達した資金を企業に貸し付けて、その利ざやで稼ぐというモデルは成り立ちません。もちろんやったところで、貸し倒れも発生するでしょうから、ますます儲からないと思います。
それより、セブン銀行に口座を持たない他の銀行の預金者が頻繁にセブンイレブンのATMから現金を引き出してくれた方が、よほど儲けになります、一回当たりに他行から貰える手数料が数十円だとしても、1万店を超える店舗で一店あたり一日数十人の人が使えば大変な手数料収入になります。既存の銀行があんなののはATMの場所代を稼いでいる事業で銀行じゃないといくら叫んでも、それがセブン銀行の儲けの仕組みなのです。
若い人に聞いても、セブン銀行やCVSのATMは、普通の銀行より遙かに便利な銀行であると認識されています。いくら既存の銀行がセブン銀行は銀行ではないと叫んでも、消費者には既にサービスの優れた銀行として認識されているのです。
そうなると既存の銀行は、これまでの同じような商品を横並びで、自社の店舗で販売するというモデルから脱却しない限り、個人向けの銀行業のおいしいところは、CVSや今後ますます便利になるであろう携帯電話会社に持って行かれてしまうと言うことになりそうです。
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