本日(23日)の夕刊に、グーグルが企業向けの有料ソフトウエア提供を始めるという話が載っていた。
先日紹介したGoogle Docs&Spreadsheetsを大企業向けに有料化して提供するというものです。まだお読みになっていない方は、バックナンバー「マイクロソフトはなぜグーグルを恐れるのか(上、中、下)」(1月14-15日)をご覧ください。
グーグルでは初めての有料サービスではないかと思います。これまですべてのサービスを無料で提供してきたグーグルの大方針転換です。
私はこのままではうまくいかないのではないかと思います。無料だからこそ、多少欠陥があっても、機能が劣っても使われれるのであって、現在のレベルではお金に値しないのではないかと思うからです。もちろん、一人当たり50$という価格はマイクロソフトのオフィスの数百ドルよりは遙かに安いのですが・・・。
@IT の NewsInsight というサイトでは、有料のGoogle Apps はマイクロソフト・オフィスに対抗するキラーアプリケーションになるという意見を紹介しています。
http://www.atmarkit.co.jp/news/200702/23/eweek.html
こちらも参考にしてみるとおもしろいと思います。
今日まで、早稲田大学では入学試験が続いており、私も忙しい毎日を過ごしていました。今日の更新が遅れたのもそのせいです。
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Googleはやりましたね。前回の私の投稿で、クドくなるので投稿を控えていた戦略オプションというのが、まさにこのEnterprise向けのSaaS(Software as a Service)です。あ、負け惜しみに見えますか?実はその通りです(w)。
Google Apps Premier Editionですが、年間50ドルというコストリーダーシップ戦略はMS-Officeにとってあまり脅威にはならないと思います。前回ご紹介したOpenOfficeは無償ですし、またマーケティング巧者であるソースネクストが販売しているLotus SuperOfficeは2,970円ですが、不思議なくらい売れていません(これが中国になりますと話は別で、廉価版office suiteがすごく売れています。GoogleもMicrosoftも中国市場だけは攻略できないんですよね)。
MSにとって真に脅威なのは、インハウスというか、デスクトップ上で稼動するアプリケーションを強みとしてきた同社にとって、ネット上から提供されるSaaS型サービスが定着してしまうことでしょう。実はこのSaaSが普及すると、MSを中心としたバリューチェーンの川上、川下全体に影響してしまい、PCメーカーもCPUメーカーも大弱りです。Googleが自覚しているかどうか分かりませんが、新しいビジネスドメインに踏み込むことで、ものすごく多くの敵を作っていると思います。その辺のドス黒いところを、無垢で純粋な天才集団であるGooglersが理解しているのかどうかですね。
いいところ突いてきたGoogle Apps Premier Editionですが、それでもこれが成功を収めるにはいくつもの課題があります。Enterprise向けサービスというものは品質が命ですから、従来のGoogleの開発スタイルである「β版を公開するから勝手に使ってみて。ついでにバグ報告もよろしく!愛するGoogleファンの皆さまへ」というナイーブな方法は通用しません。またバリューチェーン、それもM.ポーターが言う業務プロセスのつながりという意味で考えてみても、Googleはまだ弱点を克服できていません。何が弱点なのかは、裏で密かにお話しいたします(w)。