今週のリーダーはユニチャームの若き経営者高原豪久社長だ。本人は若いと言われることを嫌うと思うが、父上が創業し、女性用生理用品や子供用紙オムツで日本一にした会社を39歳の若さで引き継ぎ、さらに発展させている。現在45歳の働き盛りである。
ユニ・チャームという会社の名前は知っていても、実態を知らない人も多いのではないかと想像する。東証一部上場と言っても、売上で言えばたかだか3000億円程度の会社でたいした規模の会社ではない。ところが、この会社が日本市場では世界一のトイレタリーメーカーのP&Gや日本でも有数のマーケティングエクセレントカンパニーである花王を向こうに回して十分に戦うどころか、彼らをやっつけてしまっているというから驚きである。まさに小さな巨人である。
最近は日本だけでなく、アジアを中心にした世界戦略を推進しており、アジアの多くのマーケットで後発でありながら、リーダーのP&Gを逆転して、シェアNO.1を獲得している。
ユニチャームの特徴は一見地味で目立たないが、実は会社の戦略やビジョンが明確で軸がぶれないことに加えて、実行力があることすなわち足腰がしっかりしていることである。高原社長の話の端々に、なるほどそうなのかという、気づきがあった。
たとえば、スローガンを大事にしていると言っていた。そして、それを社員に分かりやすい形で示す。たとえばグローバル10という形で、世界シェア10%を目指そうとか、あるいはアジアで成功するためにはユニ・チャームの「勝ちパターン」を作ることが大事で、それが出来たら枠にはめていく作業に移るそうだ。
勝ちパターンの例をあげると、既にある程度立ち上がった市場を狙うとか、ローエンドではなく、プレミアムで勝負するとか。分かりやすい。
さらにプレミアムすなわちブランド力で勝負するに当たって、それを定量化するという。ブランド価値を定量化と聞くと、一瞬すごく難しいことをやっているのかと思ったら、利益が出ている商品はプレミアムで売れていると定義しているそうで、わかりやすい。
要するに大変プラクティカル(実践的)なのである。日本では低価格品として位置づけられる商品についているマミーポコという商品名をアジアではプレミアム商品用のブランドとして売る。なぜかと言えば、アジアでは「Mammy Poko」と言う音感が高級品の響きがするからと言い切る。別に日本のエコノミークラスの商品を高級品として売っているわけではなく、ブランド名を転用しているだけとのこと。ブランドコンサルティングの会社が聞いたら、統一性のなさに怒るだろうな。
あるいは、急成長している市場で大事なことはSCMすなわちロジスティクスをきちんとやることであると言われると、意表を突かれる。しかし正論である、実にしぶい。
最後に一番印象に残った言葉は「教育と訓練は違う」という言葉だ。知らないことを教えるのが教育、知っていることを体で覚えてもらうのが訓練。ユニチャームは訓練を重視している。すごくよく分かる。頭でっかちな社員を作るのではなく、頭に見合った足腰を持った社員を作る。トヨタを始めとして強い会社というのは、こういう足腰の強さを持っている。
この記事へのトラックバックはありません。
ユニ・チャーム 高原社長 講義レポート
戦略とリーダーシップ、今回はユニ・チャームの高原社長の御講義だった。
ユニ・チャーム、何となく聞いたことはあるが、何の会社かはよくわからない感じかもしれません。オムツとか生理用品の会社なんです。ムーニーマンと聞けば、思い出せるんじゃないでしょうか。…