先日たまたま目を通した自動車専門誌「ベストカー」にちょっと気になる記事が載っていた。タイトルが「なぜ若者は車に興味を失ってしまったのか!?」という、刺激的なもので、中身は最近若者の車離れが進んでいてメーカーが困っているという話だ。
私のゼミ生や会社の若い連中と話していても感じることと合致する。
記事中に引用されていた、M1F1総研調査のデータによると、20歳から34歳までの男女を対象にした調査で、車を欲しいと思わない理由のトップ5位は
1位 今の生活では特に必要性を感じないから 74.1%
2位 車の維持費・税金が高いから 52.0%
3位 他の交通機関でことが足りているから 51.9%
4位 クルマ以外のものにお金をかけたいから 43.9%
5位 クルマ本体を買う金銭的余裕がないから 36.9%
出所:M1・F1総研発行 「若者の車離れに関する検証」
である。
でも昔だって、アンケートをすれば上の5つのうちの4位を除く、すべては当てはまっただろうなと思う。あまり説得されない。
一方で、記事の中にはテリー伊藤氏の「かつてクルマには魔法がかかっていた。乗っているだけで女の子にもてるという魔法だったが、その魔法が解けてしまったからだ・・・。」というコメントもあった。
これも嘘ではないが、すべてを説明するほどの力はないかな・・・。私自身、学生時代からクルマに乗っていて、それが理由でもてたという記憶はない(まあ、これは私の問題が大きいと思いますが)。
個人的には、環境問題の視点というのもあるだろうなとは思っている。クルマより、エコロジーに優れた電車やバスを利用しようという考えである。
さらに文中ではベストセラー「下流社会」著者の三浦展氏の言葉を引用しながら、「今の若者たちにクルマは洗剤やハンバーガーなどと同じコモディティにしか見えないだろう」、したがって、洗剤やハンバーガーに熱くなる若者がいないように、クルマに熱くなる若者がいないと結論づけている。
こうなると、正しい正しくないを通り越して、悲しくなる。
だって、私自身は車大好き人間で、クルマの雑誌を読んだり、人とクルマの話をするのが大好きだ。もちろん、いろいろなクルマに乗ってきたし、これからも乗ってみたい。
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今23歳の「最近の若者」です。
車離れについて直感的に思うこととしては「車の話題にそもそもならない」というのが挙げられます。M1・F1総研のデータに現実感が無いのは、「車を欲しいと思わない理由」を挙げているからではないでしょうか。「車についてそもそも検討しない」というのが現状に近そうです。
その理由として考えられるのは「テレビ(=車の広告)を見ていないから」などでしょうか。
…という推敲も検討もしていない思いつきを述べさせていただきました。
はじめまして。
今春より立教MBAに在学しているFuwawaと申します。(先日まで静大T先生から指導を受けておりました)
若者の車離れについて、ちょうど1ヶ月ほど前に私なりの仮説をブログの中でまとめたところでした。そのなかで「トヨタの功罪」「コミュニケーション手段の変遷」の2点も重要なファクターであると捉えています。
まことに僭越ながらブログ(記事)の最終行には私の願望も示してあります。機会があれば是非よろしくお願いします。
ブログ→http://ameblo.jp/huwawa55/entry-10079444716.html
はじめまして。
文化芸術関係の会社を経営しています。若い頃、クルマに興味がなかった私にも自動車を所有する友人はキラキラしていました。クルマに熱くなるような若者が少なくなった背景かどうかわかりませんが、有意義・無意味を問わずこの社会の虚無感や閉塞感がそうさせているような気がしてなりません。若者は敏感ですからね。
五木寛之さんがいうようにこの国は欝の時代に入り、集団の無意識とでもいうのでしょうか退行期にあるのでは。国別の意識で語るのは乱暴ですが、最近アジア諸国を訪ねる度に現地の若者の闊達な笑顔を見てそう思います。
Wakiさんへ
コメントありがとうございます。
私は車があこがれの存在から、手に入れようと思えば手にはいる、しかしコストパフォーマンス(費用対効果)が悪すぎる存在になってしまったのが大きいかなと思ってます。
若者にとって、無理して車を買っても大して良いことがあるわけではなく、それより○○(人によって○の中身が違う)をした方が楽しいやになっているのではないかと思いました。
Wakiさんのブログも拝見しました。
壮大な?実験、うまくいくと良いですね。
せっかく会社に問題提起して波紋を投げかけたら、後はどんな結論になるにしろ、明日が今日よりよくなることを祈っています。
Fuwawaさんへ
すてきなハンドルネームですね。
T先生から話も伺っています。
ブログも拝見しました。
機会があればお会いできると思いますので、とりあえず嶋口研究会に顔を出されたらどうでしょうか。私は3回に2回は行っていますので・・・。
コメントについては、コミュニケーション手段の変化が、車を売れなくしているというのがおもしろいと思いました。
要するに、昔は「誰かとつながっている意識」を持つ上で、車というのが重要な役割を果たしていたのが、今は携帯の方が「つながっている感」が大きいという仮説ですね。
どうやって証明するかは別として、ユニークで、気に入りました。
確かに私が若い頃はデートと車というのは切っても切れない関係でしたが、最近はそうでもないのかも知れません。
40代オヤジさんへ
40代がオヤジなら、50代の私は何なんでしょう、というつっこみはやめにして・・・
何に熱中すると人はキラキラするのかというのは、国の発展段階と関係あるというのおもしろい説ですね。
10数年前に初めて、ベトナムに行ったときに、ホー・チミン市で多くの若者が市の中心部で、二人乗りのバイクをやたらと狭い範囲で乗りましているのを見ました。日本で言えば皇居前広場の同じところを、何百台もの二人乗りバイクがぐるぐる回っているイメージです。正直、こいつら何を馬鹿なことやっているんだと思ったことがありました。
この話をある人にしたら、それこそが若い人のレジャーであり、デートをしているんだと言われて、妙に納得したことを思い出しました。彼らにすれば、二人(男女とは限りません)でオートバイに乗って、同じ空間を共有しているのが大事で、どこへ行くかとか、何をするのかというのはどうでもいいことなんだなと悟った次第です。
あの頃のベトナムの若者は今どうしているのでしょうか?今でもバイクを乗り回しているのかな?
ホットロッドやマッスルカーブームが去ったアメリカも似たような現象がありました。またどうせ2010年代に反動で見直される。
こんにちは。久し振りに内田さんのページを拝見させて頂きましたところ、興味ある書き込みがありましたので、記入させていただきます。
私は28才で車が大好きなのですが、最近は車が不便でなりません。というのは、私は以下の点が理由にあると考えております。
・関東の道路事情は地方(私の地元は名古屋
です)と比較して非常に走りづらい。それは
道の狭さ、入り組み具合、車線の少なさ、
駐車場の少なさ、から来ているものと
思います。一方、これと反比例するように
車の絶対的な台数が多いため、慢性的な
渋滞があります。これらから、単純に
移動手段と考えた場合、電車の方が明らかに
便利です。また、上記の問題を解決できる
バイクについては若者への販売台数、特に
ビッグスクータの販売台数が伸びているかと
思います。
・若者は3大都市、特に関東に多く集まって
きていることから、トータルでみると
若者への販売台数が減っているのでは
ないか。(ちなみに、私の地元では一人
一台が基本です。)
・車を趣味とする人の増減は見えないですが、
車利用者全体から見たら小さなパイだと
思います。ただ、上記のような環境の悪化
により、その数は減少しているのではと
感じております。
ここ数年を考えると、明らかに車の絶対的な
台数が増加しているため、そこに何らかの手を
打たないことには解決しない問題かと私は
感じております。バイクについてもいずれは
同じ問題にあたると思います。
このような一因もあるかとおもいますが、いかがでしょうか?
Tsuneさんへ
確かに都会、とりわけ首都圏では車を使うと却って時間的には不経済になることが多いと思います。
私も、時間によほど余裕があるときか、土日にしか都心にはクルマで出かけません。
一方で、日本全体を考えると既に十分な道路網はできているので、これ以上の整備は必要ないかなと思います。
しかし、これから都心の道路事情を良くするための投資は、とてもペイしないでしょうから、パークアンドライドやカーシェアリングが進んでいくのでしょうね。
自分のゼミ生やBCGの若い人を見ても、クルマに思い入れが強い人は少数派のように思います。却って、我々の年代から10歳若いくらいまでが、未だに少年の心を持ってクルマを語る人たちが多い気がします。
私はもうすぐ29歳ですが、去年初めて車を買いました。
家庭の事情(これを言うと長いので省略しますが)で貯金を200万くらい崩して買いましたが、駐車場代・ガソリン代・自動車保険料・自動車税…色々な事に金が必要になります。
一方で私は東京都に近いJRの駅から徒歩圏に住んでいますので、鉄道を使った方が遙かに安上がりです。正直その家庭の事情が無ければ、120%買わなかったでしょう。
私は一先ず正規雇用の社員なので車を買う事もできたのですが、一方で少なからぬ若者が派遣などの非正規雇用にあります。彼らにしてみればとても車など買えるはずがありません。
それに私は自動車業界が若者の車離れを嘆くのは矛盾していると思いますよ。何故なら自動車業界こそが派遣契約の労働者を多く抱えていますから。例の凶悪事件を起こした犯人は極端だとしても、多くの派遣労働者は経済的に苦しい。経済的に苦しい若者が多いから、新車なんかに手が届かない。必然的に車を買おうとする人が減るのは当然です。
貨幣経済というものは貨幣が「循環」する事で成り立っているわけですから、どこかでその貨幣の流量を減らしてしまえば(今回で言うと労働者の賃金を減らしてしまえば)、循環する貨幣の量と規模が全体的に縮小するのはごく当たり前の事ではないでしょうか?
それに気付けない現在の自動車メーカーのおえらいさんにはもどかしい思いしかしません。
今自動車メーカーが最もすべきなのは、若者受けしそうなデザインやエクステリアを採用して車を造るのではなく、今の若者でも買えそうだと思える車を造る事だと思っています。
丁度、戦後スバル360が出た時みたいな…。
柳川鍋さんへ
自動車メーカー自らが若者の車離れを加速するようなことをしているのではないかというなかなか鋭い指摘ですね。
確かに企業の収益は過去6期にわたり絶好調ですが、そこで働く従業員の人の生活が豊かになったとか、給料ががんがん上がったという話はあまり聞きません。
しかし、日本という国が成熟化していく中で、以前のようにみんなが同じように幸せになっていく構図はもう難しいですね。そうなると、一人一人が異なる幸せという尺度を求めていくのも必然な気がしますし、その中にクルマを欲しがらない若者がいても不思議はないです。