早稲田大学ビジネスクールが出している雑誌、早稲田ビジネススクールレビューをご存じだろうか?
ほとんどの人が知らないと思います。というのも年2冊しか発刊していない上に、限られた書店でしか販売されていないからです。
一番新しい2009年1月号はこの間出たばかりです。ビジネススクールの同僚である山田英夫先生と編集委員を仰せつかりましたので、二人で企画を考えました。出した結論がダイバーシティマネジメントでした。
ダイバーシティマネジメントとは多様性のある人材を企業の中でどうやって活かしてしていくかという問題です。日本ではダイバーシティというとイコール女性活用ととらえられがちですが、それは間違いです。
多様性には女性に限らず、中高年、障害者、外人など幅広い属性の人を含みますし、さらに広げて考え見れば価値観や宗教観の違う人間をどのように統合して価値を高めていくかという問題にまで行き着きます。
今回はダイバーシティマネジメントの啓蒙を大きな目的として入門編的な位置づけとして特集を組みました。
巻頭論文は、ビジネススクールの同僚で、この分野では日本でも有数の学者である谷口真美先生にお願いしました。しかし学者の論文だけでは実務家の人々にアピールしないので、実務家としてはキヤノン中国の社長で海外ビジネス経験30年の小澤秀樹さんにインタビューを実施、中国での現地法人経営の難しさとコツを伺いました。また日本IBM前専務で現在はベネッセの副会長で同社の子会社である英会話のベルリッツ会長でもある内永ゆか子さんに、日本における女性活用の課題と道筋を伺いました。さらにワークアンドライフバランスの第一人者でもある小室淑恵さんとは山田先生が対談を行いました。(ちょっと鼻の下が長かった気がします・・・)
さらに人材活用のプロやコンサルタントの方々、具体的にはグローバルインパクトの船川さん、リクルートワークスの高津さん、ヘイ・コンサルティングの大高さんに論文を寄せてもらいました。それぞれ読み応えのある力作です。
自画自賛にはなりますが、ダイバーシティマネジメントの問題意識を深めていただくには格好の入門書となったのではないかと自負しております。
書店ではなかなか手に入りにくいかと思いますが、手に取ってみていただくと幸いです。もちろんアマゾンでも購入は可能です。
ちなみに今回の特集を組むに当たって私のBCGにおける経験やBCGの各国のパートナーとの話が刺激になったことが上げられます。LGBTなんて言葉を聞いたのもBCGのパートナーからでした。これが何を意味するかは各自に調べてもらうとして、BCGの社内ではこうした人材をどう活用していくかという議論が真剣に行われているのです。日本企業は何周遅れなんでしょう。
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>小室淑恵さんとは山田先生が対談を行いました。(ちょっと鼻の下が長かった気がします・・・)
小室さんは美人ですから、山田先生でなくても鼻の下が長くなる気がしますo(*^▽^*)o
早稲田大学ビジネスクールレビュー、購入してダイバーシティマネジメントを勉強します!
内田先生
あけましておめでとうございます。
diversityと居酒屋店長を拝読し、近いことを感じました。business reviewをこちらでは読めなくて恐縮ですが、diversityは何のためとされているでしょうか。特に外国人の部分に関して。
diversityという言葉は恐らく米国からのconceptだと思いますが、米国に対する意味と日本に対する意味が違うように感じます。米国で特にサービス業において、移民に満足できるサービスを提供するのに、外国人雇用が必要になり、その延長線上のdiversityではないかと思います。
西洋の思考法を理解するのに、最近哲学の本を読み始めたりしています。彼らのベースは最初からlogic, formのような考え方からはじめ、組立が可能なシステムを作ること、というのは私にとっての新発見でした。
ビジネスへの応用として、利益を得るため、システムの一部としてdiversityの必要が出て、理屈的に実施したものと考えることができます。
日本は移民国家ではないので、外国人雇用はまずサービスに大した必要はないでしょう。恐らく①日本の人口が縮小するから、働く人が必要である、②グローバル企業には、いろんな国の人々への理解が必要、それを実現するため、本丸にdiversityを入れ、組織のchange managementの一環として必要である、その2点が切実かもしれません。
日本の場合、多数の企業はsystem based組織よりvalue basedもの(だと私は認識しております)なので、外国人を雇用しても、日本の価値観に染まった人でなければ行けなくなります。わらわらの店長もほかのskilled外国人じゃだめだと思いますよ、頭が日本的になっていなければ。
WBSで論文のため日本企業の中国現地法人十数社に話を伺ったことがあります。ちゃんと年を重ねてすり合わせをする現地人は結局会社のやり方がわかって上に行けるようになりますが、時間がかかりすぎるので、特に外部労働市場が盛んな場合、ほとんどの人はそんなに待てずに日本離れをします。system basedのようなことをやろうとした現法もありましたが、日本とのconnectionが上手く行きません。
そう考えれば、本丸が変わらなければ始まりません。それは難しい話でしょうか。以前、WBSの寺本先生は外国人社員の研究をされ、確かに違う価値観の人を入れて組織を変えようとした会社では、逆に違う価値観を捨てる人が残り、持ち続ける人が出る結果になったと思います。
長くなりましたが、①が目的とする場合、現在のままで染めればよくて、②の場合、現在のままで「生」の外国人を放り込んでも恐らくworkしないと思います。いきなりシステムで企業を動かすようにしても多分組織が動きませんので、value based組織の良さを残しつづ、diversityが活きる仕掛けを作るのがpointでしょうが、難しい課題だと思います。形式に流されないのはよいdiversityだと思います(笑)
P.S.スパーク思考、うん、読んで見たい。そのうち、アジアに戻って入手しよう^^先生はお元気で!
某コンサルティング会社でも、ダイバーシティ=女性コンサルタント問題と考えているように聞きましたが、内田Kさんのコメントで溜飲が少し下がりました。
改めて自信を持ってspeak upしてみます
うにさんへ
TVでしか拝見したことはないけれど、確かに小室さんは美人ですね。これで一冊WBSレビューが売れました。ありがとうございます。どこの本屋で売っていたか教えてください。
リンリンへ
久しぶりだね。日本のダイバーシティはまだまだマイナス面をどうやって消していくか(女性の活用が不足しているのでどうやってミニマムまで増やすかというような考え)が多い気がします。これからは、多様な人材を如何に活用してプラスを生み出していくかに焦点が移っていくでしょう。日本あるいは日本企業がそこまで追い込まれていると思います。
unti-wiさんへ
初めまして。コメントありがとうございます。
言うは易く行うは難しで、私もBCGもまだまだだと思います。
健闘を祈っています!