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Krispy Kremeの戦略

先日、所用があって新宿のマイクロソフト本社を訪れた折、ビルの手前にあるクリスピークリームドーナツ店(Krespy Kreme)の前を通りかかった。

Krispykreme003

なんと未だに大変な行列が出来ている。店が出来て2年以上経つのに相変わらず行列とはすごい人気である。
でも何か不思議な気がする。というのも戦略が浮かび上がってこないのである。

いくらおいしさを売り物にしているハーゲンダッツアイスクリームでも今では店舗(ショッペと呼ばれる)に行列している人はいない。同じ頃行列で大騒ぎしたホブソンズは今や知る人も少なくなってしまった。
一方で、ハーゲンダッツは店舗での販売よりはカップが主力で、スーパーやCVSで売られるパッケージ商品で大成功している。

Krespy Kremeの場合、既に日本にも7店舗ほど出来ているようなので、少数限定で飢餓感をあおる作戦でもないようだ。たかがドーナツである、いくらダース単位で売ったとしても、これくらいの店舗数では売上も知れている。おいしいと言っても、絶対的な差別化が出来ているるわけではない。数百店舗以上展開しない限りビジネスとしてのうまみは出ないであろう。

ロッテとリヴァンプのジョイントベンチャーなので、それなりの戦略はあるのだと思うが、成長戦略は見えてこない。しかしこれだけ人気があるということは、あるセグメントの人には並んでも買う価値があるということになる。私に見えていない価値があるのであろうか?
今後の打ち手に注目しよう。

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コメント

  1. 地方都市にいるので見たことも食べたこともないのですが、ホームページ等でメニューや店舗内の写真を見てもピンとくるような印象は受けませんでした。味が決め手なのでしょうか。
    信憑性の問題は別として、ネット掲示板の「2ちゃんねる」も覗いてみたのですが、これがまた結構活発な意見が交わされている。
    でも、成長戦略や差別化戦略のヒントになるような消費者の意見は見当たらず、虜になっている人もあまりいない様子。
    一方、これらを実際に確かめるべく並ぶという人も少なからずいる様子です。
    あえて言えば、店で出来たてを出すのが珍しい(美味しい)のでしょうか?
    うーん、(今後の戦略として)気になってしまいますね。
    そういえば、一時期ブームになったベルギーワッフルもどこへいったのでしょうかね。

    • 匿名
    • 2009年 4月 07日

    クリスピーは行列に並んでいる間にドーナツが1つタダでもらえます。そのため、私は1つか2つ買って、1つタダでもらって帰ります。
    実際、並んでいる間にもらえるドーナツで満足してしまうのですが。
    競合のドーナツプラントでは、クリスピーと似た味かつ待たずに買うことができるのにも関わらず人気は圧倒的にクリスピーです。
    結局は、ブランド価値なのでしょうか。

  2. 商品自体でどれほどの差別化ができているかは疑問です。
    以前友人と話をしていて、やはり並んでも買うという話題性がポイントなのではないかという話になりました。つまり、多店舗展開しても成功しないだろうという見方です。
    実は自分が食べるというより「おみやげ」としての価値が高いのだという話も出ました。
    「あっ、これ一回食べてみたかったんですよ。でも、結構買うのに並んだんじゃないないですか?」
    「いえ、たいしたことはないです。それでもまだ人気は続いているみたいですよ。」
    というような会話が浮かんできます。商品自体が持つモノの価値とは別に、わざわざ自分のために手間隙かけて手に入れて来てくれたという行為が新しい価値を生んでいるとも考えられますね。だとすると、さらに多店舗化の方向は難しいかもしれませんね。

    • 匿名
    • 2009年 4月 08日

    商品自体はあまり差別化できていないと思います。
    それでも新宿のあのお店の前に並ぶのは、
    「新丸ビル行った?」「赤坂サカス行ったことある?」(ネタが古いですが)と同じように流行を追いかけるひとつのステータスとして、
    他の人と話の種として共有したいから(自分もその経験が欲しいから)ではないでしょうか。
    おみやげになるのはあとづけのような気がします。30分並んでひとつだけ買って帰るのは、並んだ時間がもったいない気がします。しかし1人2人では多く買っても食べられないので、結局他の人にもとおみやげになるのでは?

  3. 私、アメリカに長く在住していましたが、アメリカでのクリスピークリームのブランドは、日本で言えば、ダイエーやユニクロのようなものです。決して、オシャレなブランドではありませんね。それを日本人は競うように欲しがっているのが、とてもおかしく見えます。

    • 内田和成
    • 2009年 4月 28日

    皆さんへ
    Krispy Kreme はやはり皆さんの関心も高いようですね。ビジネススクールでもハーゲンダッツのケースをやるときに、当時の賑わいぶりを最近で言えばKrispyKremeと言えばすぐ通じます。
    アメリカではたいしたことなくても日本ではすごい人気な所も、なんか似ているかも。
    味が差別化できていないというのもその通りだと思います。私自身はKrispyKremeよりミスタードーナツの方が好きです。
    話題になるかどうかの分かれ道は何で決まるんでしょうね。感性? マスコミの力の入れ方? 希少性?
    さらにそれが長続きする理由は、科学? 偶然?

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