たまたま今日のテレビ東京WBSで水ビジネスについて特集が組まれていたが、最近読んだ本で水ビジネスについて、考えさせられたのが橋本淳司さんの「世界が水を奪い合う日・日本が水を奪われる日」だ。
橋本さんは私の友人で、水の研究家で知られる男だが、今回の本は日本の水の常識と世界の水の常識がいかにずれているかを、いろいろな角度から語っている。
たとえば、日本の水技術は世界に優れたものとして知られているが、それはあくまで淡水化プラント用の膜の技術や一部のエンジニアリング技術にしか過ぎない。こうした素材や部品の事業規模は世界中で1兆円程度あるらしいが、これがプラントになると一桁上の10兆円になり、水そのものの上下水道事業になるとやがては100兆円という規模になるらしい。要するに日本が担えるのは、そうした水ビジネスのほんの一部しかないということがよくわかる。(数字はおおよそのもので、桁が違うと言うことを理解してもらい為に使っています)
どうして日本企業は水ビジネスが海外でできないのかと言えば、日本では水ビジネスが当たり前のように公共事業として展開されていて、運営ノウハウが民間企業にはないそうである。しかし、橋本さんは、そうだから日本の水道事業を民営化すべきというような単純な議論はまったくしていないので、念のため・・・。
世界の水ビジネスはアメリカ企業ではなく、フランスの2社が圧倒時にガリバーで、ヴェオリア社とスエズ社で世界の主要市場を押さえてしまっているそうだ。彼らは、石油メジャーならぬ水メジャーと呼ばれており、フランス政府の支援を受けて、自分たちの得意な技術を世界標準にしたり、各国の水道事業の民営化を迫ったりと、長期的な視野で事業展開しているそうだ。
これ以外にも、水の浄化の方法についての技術的な方法と各地域固有の事情を考えた選択があるべしとか、あるいは水がいかに世界の中で貴重な資源になっていて、日本人はその常識からかけ離れた水の使い方をしているとか、いろいろ為になる話が満載である。
是非一読されることをおすすめする。
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はじめまして。
http://www.amazon.co.jp/%E6%B0%B4%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9-110%E5%85%86%E5%86%86%E6%B0%B4%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%81%AE%E6%94%BB%E9%98%B2-%E8%A7%92%E5%B7%9Done%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%9E21-B-127/dp/4047102164
こちらの新書にも淡水化プラント用の膜の話やヴェオリア社の話が出ています。日本の水ビジネスが公共事業だから云々の話ももちろん書かれています。
書かれたレヴューを読んであまりにも似たようなことが書かれているので驚きました。
その他にも最近IBMの水ビジネスがTVCMで始まったのですがそのことが書かれていたり、「バーチャルウォーター」という聞きなれない概念についても触れています。よろしければご一読下さい。
ちなみにこの新書の著者、吉村和就さんはGROBAL WATER JAPAN という団体を立ち上げて活動中です。
http://gwaterjapan.com/
buchi_Rさんへ
コメントありがとうございます。
それだけ水問題への関心が高いということの証なのでしょうね。
機会があれば紹介いただいた本も読んでみます。