今月の私の履歴書はオービックの創業者野田順弘さんだ。今日6月15日は彼がそれまで務めていた事務機の会社を辞めて新しい事業を興す顛末が記されている。野田さんは会計機を企業や団体に販売する仕事していたのだが、それを見ているうちに会計を買いたい会社は会計機が高くて買えない、一方で既に会計機を導入している大手会社がそろそろコンピュータに買い換える時期で、使われない会計機が余っている。
それを見た野田さんの頭にひらめいたのが、大手に余っている会計機を安く引き取って、会計機を欲しがっている中小企業に低額で貸し出したらどうかというビジネスだった。今でこそ当たり前の中古事務機のレンタルやリースであるが、当時としては画期的なアイデアだったに違いない。
私が興味を持ったのは、野田氏がこのアイデアをどうやって思いついたかについてのくだりである。そのまま抜粋する。
「半年ほどたったころだったろうか。唐突に私の頭の中にある思考や記憶の断片が、磁石に吸い寄せられる砂鉄のよう一点に集まって鮮明な形になっていった。断片は大手企業からいつの間にか姿を消した旧式の会計機であり、また『高い会計機を買う余裕はありまへん』という中小企業経営者の声であった。『これや』という声とともに思わず立ち上がった。」
私が「スパークする思考」の中で書いた発想法とまったく一緒である。私が主張したのは、日頃から問題意識を持っていれば、ある時何かのきっかけで事象と事象あるいは事象と問題意識がぶつかって新しいアイデアが生まれるというものであり、今回の野田さんの文章はまさに我が意を得たりだった。
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内田和成教授へ。
『論点思考』および『仮説思考』(両書とも、東洋経済新報社刊)を読みました。これらは、かなり平易で読み易く理解がし易いです。
推薦図書を一つ紹介したいと思います。
『FBI捜査官が教える しぐさの心理学』(J・ナヴァロ著、河出書房新社刊)
この本を読みながら、『論点思考』と『仮説思考』を併読すると理解が深まりますので、推薦したいと思います。
昨日のワールドカップの、オランダが日本に勝った試合について。
あの試合は、論点思考をオランダが実行したからこそ成し得た結果だといえます。
内田教授が執筆されました、『仮説思考』(東洋経済新報社)にハンス・オフト氏の話があったのを私は読みました。
オランダのエースであるスナイデル選手は、オフト流のやり方を実践したのかもしれません。
内田先生スパークする思考について質問があります。
日々色々と思考を巡らせる習慣がこのところ身につきつつあり、自分としては大小様々なスパークがあり思いつくアイディアがありますが、世の中の成功されている方々はそのアイディアを実行する力が優れていらっしゃるのでしょうか?思いついた時点で「この考えは果たして本当に斬新なのか否か?」という迷いが生じてしまう事が多く実行に移すところまでに至りません。そうこうしているうちに実現されたアイディアが巷に出回ります。
同様のアイディアが出回るということは発想力自体は悪くない、しかしながら実行力が弱くその点を改善すべきと自分なりに考えております。
実行に移す力に関してご意見頂ければ幸いです。