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ハンバーガーを待つ3分間の値段

本屋でふと見つけた文庫本「ハンバーガーを待つ3分間の値段」(斎藤由多加著、幻冬舎文庫)が結構おもしろかった。私はゲームをやらないので全く知らなかったが、ゲーム業界では有名人らしい。一時大変にはやったシーマンなどのゲームの生みの親だそうだ。

基本的に「ほぼ日刊イトイ新聞」に載せた記事が中心で構成されているのだが、彼が街の中で見つけた、ちょっと気になることや頭に来たことを題材にしてちょっとユニークな見方やなるほどなというものの見方が満載の本である。また街中にどこでもありそうだが、よく考えるとちょっと変といった写真を豊富に取り入れている。

Hamburger

たとえば、タワーというゲームというコラムでは、「人間が一つの目的を持ったとき、必ずしも『情報量が多いこと』がリアルとはならないようです。-略- どんなに素晴らしいCGをつくったところで、プレイヤーの思考の中で化学変化を起こせないものは、不要なノイズに過ぎないのがゲームです。」
うーん、そうなんだ。航空写真と手書き地図のコラムと合わせ読むとより参考になる。
(情報とはマイナスのエントロピーの話と共通だな。)

あるいは「デジタル情報産業に関わっていた感じるのは、情報とお金の相性の悪さです。-略- 極端すれば情報提供の対価は情報でしかあり得ないのではないか、とすら思えます。』
けだし、名言である。

でも一番すごいのは、前書きにある現象と本質の違いについて述べた以下の文章であろう。
「私たちが目にするものはすべて『現象』ですが、もし『本質』がその反対側にあるとすれば、それを発見するためには、少しあまのじゃくな視点が必要に思えます。」
これって、ビジネスにも全く通用する話で、その業界の常識に浸っているとつい表面だけの理解で終わってしまい、その現象の根底に横たわっている大きなパラダイムシフトを見逃すことがあるということだと思います。

昨日書いた、カンブリア宮殿ドトールコーヒーの話にも通じるでしょう。

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コメント

  1. zuKaoです。
    これから頻繁に御邪魔させていただこうと
    思っております。宜しくお願い致します。
    邪魔な場合は追い出して下さい(笑)
    昨日この記事を読み、面白そうだったので
    さっそく書店に行き購入してしまいました。
    でも今は大前研一さんの「心理経済学」を
    読んでいる最中なので、その次でしょうか?
    でも内田先生の書かれた「コンサルティング
    入門」も、購入はしたものの、まだ読めて
    いないのです。
    なんだかどんどん未読の本がたまっていって
    しまいます。これでも月4冊ペースで読んで
    いるのですが。。。
    一昨年までマンガ本すら読まなかったのです
    が、現在は今までの「知的怠惰」を取り戻す
    べく頑張っている亥年のzuKaoです。

    • 内田和成
    • 2007年 11月 25日

    zuKaoさんへ
    コメント、もちろん大歓迎です。
    これからも是非いろいろな意見をください。

  2. 内田先生
    コメントを返して頂きありがとうございます。
    「心理経済学」は頑張って今日読み終え、
    今blogに備忘録をUPし終わったところです。
    早速「ハンバーガーを待つ3分間の値段」を
    読み始めました。なかなか読み易い本ですね。
    読み終えましたら自分なりのポイントを備忘録
    として自分のblogにUPしたいと思っています。
    内田先生のblogに意見を言えるほどたいした
    者ではないですが、感じた事などあれば率直に
    コメントさせていただきたいと思います。

    • 内田和成
    • 2007年 11月 26日

    zuKaoさんへ
    ハンバーガーを待つ3分間の値段を読み終わったら、是非感想を。

  3. 内田先生のコメントをいただき、頑張って二日で読み終えました。詳細の備忘録は私のblogに記しました。
    私が気に入ったのはp.126に書かれていた以下のメタファーの一説です。
      そこで、『シーマン』は、「ゲーム」と
      いう言葉を一切使わず、すでに多くの人
      が知っているメタファーを使うことで、
      説明を回避する策に出ました。そのメタ
      ファーとは「ペット」という言葉です。
    私も常々うまいメタファーを使える人間になりたいと思っているのですが、なかなかできません。私は仕事柄、医療系の学会によく参加するのですが、内容が医学的なものであるという理由もあるのでしょうが、日本人Dr.の講演は眠くなるものが多いです(おそらくプレゼンテーション能力=トレーニング不足という理由だと思いますが)。しかし最近、面白い経験をしました。英語の勉強も兼ねて著名な海外Dr.の講演を聞いた際、メタファーが織り交ぜられていました。私はその発表に吸い込まれるような感じを覚えました。理解の程は定かではありませんが、内容の8割くらいは理解できたと思っております。

    • 内田和成
    • 2007年 12月 03日

    メタファーは実際に使ってみて、その効果を測定してみることが大事と思います。
    私は、20の引き出しと称して、いろいろな話を貯め込んでいますが、貯め込んでいるだけでは宝の持ち腐れです。
    そこで、それを使ってみることで、うまくいけば自信を持てばいいし、逆にうまくいかなかった場合は、修正して再度挑戦することをお勧めします。

  4. zuKaoです。
    内田先生、個々のコメントに対し返信していただきありがとうございます。
    早速「20の引き出し」のカテゴリー記事を拝読させていただきました。驚いたのは、上記で私が書いた「著名な海外Dr.の講演」で使われていた図は、イノベーターズジレンマの構造の図にDr.の考えを付け加えたものでした。最近は自分の身の回りに起こる事がどんどん関連づけられて不思議に思う事が多々あります。これもその一つですね。
    さて本日、内田先生の著された「コンサルティング入門」を読み終えました。また自分のblogに備忘録としてUPさせていただこうと思っております。
    最後に大前研一さんとの特別対談の項がありましたね。実は私は大前研一さんの本も数冊読んで自身のblogに備忘録としてUPさせていただいているのですが、内田先生のように引用許可をいただいていないのです。少し心に引っかかっています。

    • 内田和成
    • 2007年 12月 08日

    zuKaoさんへ
    コンサルティング入門を読んでもらって、どうもありがとう。
    Blogに読んだ本を引用して書くときは、特に許可は必要ないのではないでしょうか。心配しなくても大丈夫だと思いますよ。但し、自分の著作物などに引用して、販売される場合はそれはダメだと思います。

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