ブログ

未来へのパス

今日のラジオ番組でサッカー解説者の中西哲生の話をやっていた。彼は元々Jリーグの名古屋グランパスの選手だったわけだが、そこでの監督がかの有名なベンゲルだった。日本代表監督にも名前が挙がったが、現在はイギリスプレミアリーグのアーセナルで監督をやっている。

そのベンゲルが唯一選手に言っていた言葉がパスは前に出せだったそうだ。彼曰く、前にパスを出さない限りゴールには結びつかない、したがってパスは未来へ通すために出すことを心がけろといった主旨だった。これは内田流に解釈すれば、今選手がいるところにパスを出してもダメで、その選手が次にどこへいるかを予測してそこへパスを通すと言うことだと思う。しかもそれがゴールに向かっていなければならない。

当時グランパスには、天才プレーヤーでピクシー(妖精)と呼ばれたストイコビッチが現役選手として活躍していた。もちろん現在の名古屋グランパス監督のことである。中西選手に言わせると、彼が得点できたのは彼の足元にピクシーが絶妙なパスを送ったからだという。要するに、中西が欲しがるところに正確にパスを出せるのがピクシーだったわけである。

今回私が言いたいのは、ピクシーがすごい選手とかベンゲルがすごい監督だと言うことではない(もちろん彼らはすごいし、個人的にどちらも好きな監督と選手だが)。

仕事でも、今日の仕事・目の前の仕事に追われていてそれをこなすのに精一杯あるいはおざなりにその仕事をこなすようなことをやっていてはダメで、どうせつまらない仕事でもそれを将来へつなげるような仕事にしていかないとダメだと言うことです。

自分にも経験があるのでよく分かるのですが、会社でつまらない仕事やポストにアサインされたときに、「俺はこんな仕事をやるためにこの会社に入ったんじゃない」と思うとついつい仕事がおざなりになってしまいます。

でもその仕事のやり方を工夫することで効率が上がったり、一所懸命やることで周りの目に留まったりして、より大事なポストに就けてもらえると言うこともあります。
大事なことは今の仕事をただこなすのではなく、それは自分の将来やりたいことをやるためのステップ、すなわち『未来へのパス』なんだという自覚を持ってやることです。

ちなみに、ストイコビッチ監督はあるときもう既に選手を辞めていた中西哲生にコーチの資格を取れとアドバイスしてくれたそうで、それが中西のキャリアにおける『未来へのパス』だったと言っていました。

関連記事

  1. キャプテンの唇
  2. 服箱のビジネスモデル
  3. 人のいやがる道にチャンスあり
  4. 並列列挙
  5. プロの心構え
  6. チーム・バチスタの栄光
  7. デザインの引き出し
  8. 数字か哲学か

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

RSS 内田和成のビジネスマインド

  • BCGのコンセプト紹介の本を書きました 2016年11月3日
    今年2016年は、BCGが東京に世界で2番目のオフィスを1966年に開設してから...
  • 事業アイデアの発想法 2016年10月28日
    今日はビジネススクールの内田ゼミにBCG時代の同僚で現在事業開発のコンサルタント...
  • 学部7期生 2016年7月8日
    今日の合同ゼミには学部7期の卒業生の中澤君と薬丸さんも顔を出してくれました。明日...
  • ゼミ合宿 2016年7月8日
    今日は内田ゼミのMBA生と学部生の合同ゼミ初日です。例年土日の一泊二日でやるので...
  • 模擬授業のお知らせ 2016年7月6日
    来る7月24日(日)の午後、早稲田大学ビジネススクールでは2017年度の入試説明...
PAGE TOP
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。