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地場産業発、世界行き

GW中にNHKクローズアップ現代で、おもしろい特集をやっていた(5/1放送)。
山形や岩手の企業が東京を飛び越えて、直接世界に羽ばたくという話だ。
しかも商品が、木工家具であり、自動車というところがおもしろい。
仕掛け人は、日本人デザイナーとしてイタリアの名車フェラーリの設計を行ったことで有名な奥山清行氏である。

日本に入ってくるブランド家具はカッシーナとかIKEAとか、いろいろあるが、日本の家具が世界で活躍しているという話はあまり聞かない。それを東京本社の家具メーカーではなく、山形地場の中小家具メーカーがやってしまうと言うのだから愉快ではないか。

奥山氏によれば、地場産業が一所懸命日本国内のフェアで頑張ったところで、それが世界にまで広がっていくケースはきわめてまれだという。それより、ちょっと敷居は高く感じるが、一足飛びにヨーロッパの展示会に持って行った方が、ものが良ければすぐビジネスになるので、結局は安くつくという。私には目から鱗の発想だった。
言い方が悪いが、「田舎の小メーカーがいきなりヨーロッパかよ」という感じである。日本の木工加工技術は素晴らしいものがあるので、優れたデザインに優れた技術が加われば必ず世界から支持されると言うことらしい。
番組では、螺旋状に組み合わせた木のランプや鉄瓶などが欧米で高い評価を受けていると紹介されていた。

もう一つは、奥山氏の本職の車作りである。これも岩手に本拠のある試作車メーカーが、奥山氏のデザインしたスーパーカーを生産し、世界で限定100台で販売するというプロジェクトだ。
この車も東京モーターショーではなく、ヨーロッパのジュネーブモーターショーに直接出品する。そのためにどんな苦労が行われたかが取り上げられていた。特に無垢のアルミをメインの素材に使っているのだが、それを板金で打ち出していくのが至難の業だったらしい。途中、どうしてもうまくいかずに、技術者が塗装でなんとか間に合わそうとしたときに、奥山氏がブランドを作ると言うことは、信念を貫き通すと言うことだから、どんなに苦しくてもたとえ締め切りに間に合わなくても、塗装なしで(板金のみで)輝きを出そうと言っていたのが印象に残った。

こうやってブランドが出来ていくのだなと言うことを実感した。成功して欲しいプロジェクトである。

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