ただし、異業種格闘技を考える上で、一つ気をつけておかなくてはならないことがある。それは、本当に同じ顧客・市場を取り合っているかどうかである。たとえば昨日の一覧表の最後にあげたプロ野球とJリーグは実は同じ顧客を取り合っていないと考えることも出来る。もう少し具体的に言えば、同じ時間にTVでプロ野球中継を見るかJリーグ中継を見るかを迷うこと顧客はあまりいない。あるいは、同じ日にプロ野球を見に行くか、サッカー場に足を運ぶかの選択をする人もほとんどいない。
そもそもJリーグはプロ野球に比べて試合数が圧倒的に少ないし、TV中継もさらに少ない。また野球を見るのが比較的中高年が多いのに対して、サッカーは若者が多い。あるいは、競技場に足を運ぶ人数も両者の間に顧客の取り合いは見られない。実はJリーグ発足以来、プロ野球の観客数は減るどころか増えているのである。
ところが、マスコミでプロ野球がサッカー人気に押され気味で、衰退していると言われるのはなぜであろうか。それはプロ野球の観客離れのせいでもなければ、サッカー中継との視聴者取り合いのせいでもなく、単に野球をTVで見る人が減ったために起きているTV局のプロ野球離れということである。球団所有企業の最大の目的が広告効果である以上、こうしたテレビのプロ野球離れは致命的な出来事である。
こうした観点から見ると、プロ野球が本当に競争しているのは他のテレビ番組やアメリカのメジャーリーグと考えた方が、戦略的な間違いは少ない。間違っても「打倒Jリーグ」などとは思わないことである。
この記事へのトラックバックはありません。
テレビでしか見れない大リーグと行けば見られる日本のプロ野球。
それをわざわざテレビでは見なくなったということですね。
何事もライブがいい。
花田さんへ
早速のコメントありがとうございます。
おっしゃるとおりスポーツの醍醐味は本当は競技場に足を運ぶことにあるのでしょうね。
一方でアメリカのMLBは野球自体が独立採算のビジネスなのに対して、日本のプロ野球は球団を所有している企業の広告効果をねらっているのが第一の目的になっているところが最大の違いだと思っています。
日本の場合は、たとえ球場が満員になって球団経営が黒字になってもテレビに映ることが少なく宣伝効果が少ない場合は失敗となります。
なるほど、参考になりました。