コンサルタントがよく使う言葉に、「筋がよい」とか「筋が悪い」というのがある。きわめて感覚的な言葉で説明するのが難しいのだが、論点思考のカギとなるので何回かに分けて説明を試みる。一回目は、どんな時にこの言葉を使うかというと・・・。
たとえば、ある企業からこの問題を解決して欲しいと言われたとき、それが非常に難しい問題だったり、針の穴に糸を通すような成功確率しかないときに筋が悪いという。
あるいは、ある人が企業改革のためにこうしたら良いという答えあるいは確信を持っているときに、それがどう見ても筋違いでそんなことやっても企業が良くならないと思うときに、○○さんの答え(仮説のことであるが)は筋が悪いという。
ある課題を解決するために3つくらいの選択肢があり、そのうちの一つがどう考えても問題解決につながらない場合に、その答えは筋が悪いという。逆に、これを解決すれば業績が良くなる、シェアが上がる、社長の悩みが解決するなどが見えている答え(仮説)の場合は、もちろん筋が良いという。
コンサルタントで、何度仮説を作っても正しい仮説が作れずに、的外れだったり、真の仮説の周りをぐるぐる回るだけの場合に、彼は筋が悪いというふうに使うこともある。
いずれも、結果が出てから言うわけではなく、まだ結論が出る前の段階でのコメントである。したがって、筋が悪いと言った人間が間違っている場合もないわけではないが、多くの場合は筋が悪いと言った事象については、いくら一所懸命分析したり、実行してもダメな結果しか出ないことが多い。
これを読んでコンサルタントとはなんといい加減な商売かと思われるかも知れないが、こうした筋の善し悪しが判断できないコンサルタントは大成しないというのが真実なのである。
次回は筋の善し悪しを具体例で紹介することにトライしてみたい。
このあたりも含めて、論点思考についての講演を2月16日にアカデミーヒルズでやりますので、興味のある方は是非どうぞ。
http://www.academyhills.com/biz/think_biz05.html
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内田先生、いつも楽しくblogを読ませていただいています。
アカデミーヒルズの講演を申し込み忘れていまして、本日のブログを拝見して申し込もうとしたところすでに満席となってしまっていました。残念。
早く申し込んでおけばよかったです。
さて本日の「筋」の話ですが、きっとどんな分野でもその道を極めた人には成功パターンのようなものが直感的に見えるんでしょうね。それにマッチしたやり方というのが「筋が善い」もので、そうでないものが「筋が悪い」ものなのでしょうね。
次回の講演には必ず参加させていただきます。
毎日楽しみに読ませていただいています。内容とは全く関係ない質問で申し訳ございません。
内田先生は、このblogを書くに当たって、どのくらい時間を掛けられているのでしょうか?
毎日書かれているのでしたら、毎回のクオリティに驚嘆です。コンサル業界で磨かれた技術・能力なのでしょうか?
さわださんへ
コメントありがとう。セミナーの件は、もう一杯とは知りませんでした。また機会があれば紹介しますので、そのときは是非来てください。
筋というのはどうにも説明が難しいのですが、トライしますので楽しみにしていてください。
内田
Aさんへ
毎日ブログを読んでいただいてありがとうございます。おかげさまで、着実に読者が増えて、うれしい限りです。後はコメントがもっと増えることを楽しみにしています。
さて、このブログを書くのにどれくらい時間をかけているかという質問ですが、文章を書くのはだいたい30分くらいです。ただし、ある程度のテーマが決まってないと30分では書けませんので、テーマについては日頃から考えていて、題名だけあるいはポイントだけ(せいぜい1行ですが)をメモにしてあります。
また、毎日新たに書いており、書きためたものを紹介しているわけではありません。