今回初めて東欧(こちらでは "Central Europe" と呼んでいるが、日本では東欧の方がなじみが深いので東欧としておきます)にやって来て、いろいろなことを学びました。
来るまでは、「東欧=旧共産圏=遅れた国々」というステレオタイプの認識しか持っていませんでしたが、実際に現地に来て、見てみて、話を聞いてみたら、全く独りよがりの勘違いをしていたことがよく分かりました。
たとえばハンガリー一つとっても見ても、ブダペストに今も残る町並みから判断する限り大変近代的な街だったことがよく分かります。1860年頃、すなわち日本ではまだ江戸時代のブダペストの写真が残っているのですが、すでに7,8階はあろうかという石造りのビルがたくさん立っていて、日本の50年から100年は先を行っていたことがよく分かります。従って、今回の民主化というのは、チェコやハンガリーに関しては共産主義から解放された後進国が急速に経済発展を遂げているというよりは、元々文化的にも経済的にも発展していた国々が共産主義という50年足らずの休息から目覚めて、再度活動を始めたと言った方が正しいようです。
一方で今回は訪問できませんでしたが、ルーマニアやブルガリアなどは歴史の深さからも経済力からもまだまだこれからの国のようです。
また、最後に訪問したチェコ共和国も、街の中には何百年の歴史を持つ建物が残っており、オペラハウスなども日本にないような立派なものが残っていました。経済面で急速にキャッチアップしているだけでなく、伝統を感じさせる国でドイツなどよりよほど由緒ある感じがします。
この写真は、すでに14世紀にはこの形になっていたと言われるプラハ城の写真をブルタバ川の反対側から取ったものです。中も壮大で日本ではちょっと想像がつかない広さの宴会場がありました。
また、オーストリア(ここは共産圏ではありませんが)とハンガリーは、かつてオーストリア・ハンガリー帝国を形成していたので仲が良いのかと思っていたら、そうではなくハンガリー側が妥協としてオーストリア・ハンガリー帝国を形成したらしく、ハンガリー側にかなり屈折した気持ちがあることがよく分かりました。両国民それぞれの相手国に対する物言いがおもしろかったです。しかし、町並みを見る限り少なくとも500年くらい前にはウィーンよりはブダペストの方が発展していたようです。
さらにチェコやハンガリーは旧共産国ということでおいしいものが食べられないのではないかと思っていたのですが、料理の質は相当高く、少なくともドイツ・イギリス・アメリカの3国をしのいでいることは間違いありません。この3国を比較に出すこと自体、間違いかも知れませんが。
今回の訪問の収穫は、成熟化しつつある日本経済あるいは国力を考えたときに、かつての東欧の国々がそうだったように、街作り・道路などのインフラを充実させておくことが将来につながるという確信を深めた旅でもありました。要するに将来に残るものを経済力のある今のうちに作っておかないと、将来そうしたものを作ろうとしてもすでに手遅れになってしまうのではないかと感じたことです。
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