先月なくなられたジェームズ・C・アベグレンさんを偲ぶ会が昨日ホテルオークラで開催され、私も参加した。アベグレンといっても知らない若い方も多いと思うが、50年前に名著「日本の経営」を出版している。一時日本の経営の三種の神器といわれた終身雇用、年功序列、企業別組合の3つを日本企業の特徴(強み)として世の中に紹介した人だ。また、1966年にBCG東京オフィスをオープンしたことでも知られている、と言うか彼がいなければ私が入社したBCGの今日はなかったと思う。何しろ、何を血迷ったか世界中で二番目のBCGオフィスを東京に開いたのだから。
昨日の会には、発起人として富士ゼロックスの小林陽太郎さん、住友電工の川上哲郎さん、トヨタ自動車の奥田碩さん、日本IBMの椎名武雄さん、日経新聞の杉田亮毅さん、神戸大学の加護野忠男教授などそうそうたるメンバーが名を連ねている。もちろん、会場には何百人もの方がいらしていて、アベグレンさんの影響力のすごさと人気のほどを示していた。
何人かの経営者に、どうしてアベグレンさんと知り合ったのか聞いてみたところ、皆さんまだ20代、30代の若手で勉強熱心だったときに、BCGやアベグレンさんのもたらす新しい経営手法(たとえば経験曲線やPPM)に興味を持ったり、一緒に仕事をしたのだという。偉くなってから知り合ったのではないと言うことだ。アベグレンが偉くなる人を見極めてつきあっていたのか、アベグレンとつきあう人が偉くなったのかは、不明だ。
彼は81歳でなくなったのだが、2年前には「新日本の経営」を出版されるなど研究意欲も旺盛で、驚くべきエネルギーであった。今年に入っても元気で活躍されており、メールなどのやりとりもあったので元気だなと安心していたのだが急になくなられた。残念である。
ところで、余談であるが、アベグレンさんは1997年には日本へ帰化しており、日本人としてなくなっているが、実は日本へ帰化するとき日本国籍を取るより、アメリカ国籍を捨てるのに苦労したそうである。普通の人はアメリカ国籍を取るのに、大変な努力したり苦労しているのに、彼はそれを捨てるのに苦労したと言うから、そこまでして日本へ帰化したと言うことは、やっぱり本当に日本が好きだったのだろうと思う。国籍とは何か、日本人とは何かを少し考えてしまった。
ご冥福を祈る。
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