以前、写真業界を例にバリューチェーンを使って、業界に起きている異業種格闘技を説明したことがあった(2月16日、18日、22日)。今回はその続きである。バリューチェーンを使うことで、どんなタイプのビジネスが生まれたり、消えたりしているのかが簡単に分析できるのである。
下の図を見てもらいたい。
まず分かりやすいのが、「置き換え」である。フイルムがメモリーカードへ、カメラがデジカメへ、ラボがプリンタへ、アルバムがパソコンへと、さらにはデジカメがカメラ付き携帯電話へという風にそこかしこで置き換えが起きているのが見てとれる。置き換えられる側は大変であるが、置き換える側は新たなビジネスチャンス到来である。たとえば、プリンタメーカーはデジカメが普及したお蔭で数千億円のビジネスが新たに生じたことになる。
次によく起きるのが「省略」である。現像という機能が不要になったり、メモリーカードをテレビに差し込んで見るとなれば、現像も焼き付けも不要になる。あるいは携帯電話でメールに添付するだけとなれば、メモリーカードも不要で、携帯電話の中の内蔵メモリーだけで十分と言うことになってしまう。
3つ目が「束ねる」である。これまでのバリューチェーンの要素の2つ以上がまとまって一つの要素になってしまうケースである。カメラの場合は、レンズ付きフイルム(通称:使い捨てカメラ)がそれに当たる。これまで、カメラとフイルムという別々だったものが一つになってしまっている。通常どちらかの機能がもう片方を吸収してしまうので、この例の場合はカメラメーカーが困ってしまうことになる。というのもフイルムメーカーは従来のカメラが売れても、使い捨てカメラが売れてもフイルムの需要は減らないからである。
4つ目と5つ目は、明日紹介しよう。
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