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クリスピー・クリーム・ドーナツ(続き)

菅生さん、コメントありがとうございます。コメント機能がこちらから使えないので、ここに書いてます。ソウルでは、ダンキンドーナツはたくさん見ますが、ミスタードーナツはまだ見てません。

ちなみに私はドーナツが大好きで、日本ではミスタードーナツによく行きます。あの薄いコーヒーも大好きです。日本では圧倒的に強いミスタードーナツであるが、アメリカではミスタードーナツは負け組で、勝ち組はダンキンドーナツの方であるという話をご存じだろうか。
日本に両社が入ってきたときに、ダンキンは西武と組み、ミスタードーナツはダスキンと組んだ。世間の見立ては、大企業と組んだダンキンが勝ち、ミスタードーナツは負けるだろうというものだった。しかし、結果は逆になった。こうした本国のシェアと日本のシェアが逆転している例はほかにもたくさんある。たとえばグローバルシェアトップのカミソリはジレットであるが、日本ではシックが強い。
これ以外にもヨーロッパでは大衆車であるVWが日本では高級車になっていたり、決してトップランクではないWestinが日本では、最高級ホテルになってしまったりするポジショニングの逆転も目につく。

今日の目から鱗の話は、ソウルのセミナーの講師であるアメリカのテンプル大学の小田部(こたべ)先生に教わった。小田部先生によるとイノベーター(最初にその製品を開発した企業)で勝者になった企業より、イノベーターでありながら敗者になった企業の方が多いそうである。一方で、フォロワーでありながら、マーケットリーダーになった企業の方が、フォロワーでは敗者になった企業より多いそうである。理屈では、新しい製品を発明した企業がリーダーになり、他社の製品をまねした企業の方が負け組になりそうであるが、事実はそうではないそうである。

小田部先生によると、教科書通りの例としては、
イノベーターがそのまま勝者:コカ・コーラ、CD/DVDのフィリップスとソニー
フォロワーで失敗:DECのPC、コダックのインスタントカメラ
一方、直感に反する例としては、
後追いで成功:IBMのPC、セイコー・シチズンのクォーツ
イノベーターなのに負け組:EMIのCT、RC Colaのダイエットコーラ
などがあるそうである。統計的にはこちらの方が多いというから、ビジネスはおもしろい。
なぜ、そうなのかは私が言うわけにはいかないので、興味ある人は小田部先生に聞いてください。

ドーナツの話が思わぬ方へ、脱線してしまったが、競争戦略の事例としてはドーナツもおもしろいのかも知れない。
久保田さん(私のゼミ生で、私にKrispyKremeを教えてくれた社会人学生)、一度研究してみてください。

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コメント

    • きぬはら
    • 2007年 8月 02日

    初めてコメントします。
    いつも興味深く読ませて頂いております。
    現在会社の研修で、クリスピー~の創業地、アメリカのノースカロライナ州に来ています。
    こちらでのクリスピー~は普通のドーナツショップであり、ガソリンスタンドの横にあるお店にはショーケースのみで売られていたりもします(日本のコンビニでの肉まんの売られ方をイメージしてください)。
    また、以前サンフランシスコに住んでいた友人に聞いたところ、サンフランシスコでもクリスピー~は普通のドーナツショップのようです。
    これはまた日本で流行のコールドストーンクリーマー(アイスクリームショップ)にも言えることで、コールド~もアメリカでは普通のアイスクリームショップのようです。
    日本でクリスピー~を食べたことはなくいつか食べてみたいと思っていたのですが、アメリカにおける扱いとの違い(または差)を知ってしまうと、不思議なことに並んでまで買う気が減退します。
    もちろん、アメリカで既に食べることができたからというのもありますが。
    私も美味しいと思うのですが、やはり流行という要素が大きいと感じます。
    長文、失礼致しました。

    • 内田和成
    • 2007年 8月 07日

    きぬはらさんへ
    コメントありがとうございます。またいつも読んでいただいているようでうれしく思います。
    さて、アメリカのヒット商品や成功したブランドが日本に入ってきても当たるかどうかにはいくつかの要素があるように思います。
    一つはタイミングです。あまり早すぎてもいけないし、決着がついてからでは遅いというのもあると思います。ペプシなどが日本で失敗したのは、あまりにコカコーラが成功してしまった後だったためのような気がします。バーガーキングなども同じ理由の気がします。
    二つ目は、パートナー選びです。スターバックスのサザビー、マクドナルドの藤田さん、ケンタッキーフライドチキンの大河原さん・三菱商事などはいいパートナーを選んだためと思われます。逆にダンキンドーナツ、ジレットなどはパートナー選びに失敗したか、独自にやろうとしたせいでうまくいかなかったと思います。
    三番目は日本人とアメリカ人のテーストの違いが挙げられると思います。アメリカのビッグスリーの車、フランスの車に対してドイツの車が売れている理由。ウォルマートがうまくいかない理由も同様かと思います。別の言い方をすれば、うまくローカライズすれば何とかなるケースも多いでしょう。

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