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日本人は都心のウサギ小屋が好き

ある企業の役員の人と話をしていて、日本人はアメリカ人などに比べて東京の都心に少しでも近いところに自宅を持つことにこだわる傾向があり、少し離れていてもいいから広い庭のある家や自然に囲まれた自宅を好む人が少ないという話になった。しかし、彼曰く、これが時代と共に変わっていくのではないか。具体的には、日本でもこれからはライフスタイルの多様化が進み、都心に遠くても庭いじりをしたり、自然に囲まれることを好むビジネスマンやあるいは多少所得が低くても家で好きなことをやりたがる人が増えるので、そうした住宅が増える。そこにビジネスのヒントがあるというわけである。

それに対して、私は日本人はたとえ狭くても都心の便利さ、すなわち買い物の便、仕事場への近さ、教育環境など狭くても便利な家を選ぶ習性は当分変わらないのではないかと考える。したがって、仮に不動産価格が下がって、東京から1時間半のところに庭が100坪あるような家を売り出したとしても売れないのではないかと思う。それを買う金があっても、わざわざ都心に近い狭い家を同じ価格で買ってしまう気がする。

そして大胆な仮説としては、日本人だけでなくアジア人はすべて「小さくても良いから、都心に近い家、みんなと近くにいたい」という願望を持っているため、アメリカやヨーロッパ型の住宅環境にはならないのではないかと思う。要するに土地が少ないために現在の住宅環境になっているのではなく、狭い地域に群れて済むのが好きなために現在の状態になっていると考えるわけだ。これは、アジアの主な国々、韓国、中国、台湾、シンガポール、タイなどの首都を見て感じることである。田舎に行けばいくらでも土地はあるのに、みんな都心に集中している。

さて、皆さんはどう思いますか?

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コメント

    • 溝本義史
    • 2007年 10月 12日

    「住む場所」は、生活をする上で何を重視するかによって決まると考えます。大筋、先生のご指摘どおりだと思いますが、「群れて住むのが好き」は引っ掛かります。
    「群れる事」で周囲に同じような人が集まる「同質化」が安心感を生むのでしょうか?「群れた結果」できあがった都市がブランドとして人を惹きつけるのでしょうか?
    アジアに比べると、アメリカやヨーロッパの方が各国の国家自身のブランド力が強く、「都市」に群れなくても良いが、アジアは「都市ブランド>国家ブランド」と整理できないでしょうか?
    初めて投稿しました。

    • YK@UK
    • 2007年 10月 12日

    最近、東京からロンドンに引っ越し、現在はロンドンに住んでいる者ですが、私も先生と同様に、東京の都心に近い便利な家を買う傾向は変わらないと思います。
    理由については、
    1つ目の「都心に近く便利」という点は、先生の意見の通りで、特に東京の場合、満員電車のせいで通勤環境が悪く、「仕事場への近さ」の価値が高いのだと思います。
    一方、2つ目の「群れるのが好き」という点は、前の方のコメントと同様にひっかかりました。むしろ、群れたいというよりも、仮説ですが日本人や中国人などアジア人は世間体を気にし、住所地を気にするので、住所地の価値が欧米よりも相対的に高く、都心に集中する傾向があるように思えます。
    また、追加的な理由としては、東・東南アジアの都市は開発の歴史が浅く、法的(不動産の権利関係が複雑でない、景観に対する規制が緩いなど)、技術的に都心に高層ビルが建てやすい
    一方、ヨーロッパの都市は開発の歴史が古く、特に景観を損ねることから、現在、高層ビルを建てるのが困難で、そもそも供給できないということがあるのかもしれません。
    さらには、少なくともロンドンでは、すでに郊外の広い家に住む文化が形成されています。例えば、私も何度か行きましたが、家の庭でバーベキューなどのホームパーティーをする習慣があります。都心にあって便利でも庭の無いマンションだと、その楽しみが無くなるということもあり、仮にロンドンの都心近くに高層マンションを建てても、あまり売れないのだろうと思います。
    ということで、個々の国に存在する環境、価値観や習慣が異なる以上、多少、日本人の価値観なりが多様化したとしても、総体として日本の住宅環境がアメリカやヨーロッパ型のものにはならないと思います。

    • KTYM4A
    • 2007年 10月 15日

    大変興味深いテーマでしたので、恥ずかしながら初めて投稿させていただきます。
    さて、私の仮説ですが『人は住環境にまず安全性(治安)を求め、次に利便性やブランドを求める。このため、日本に限らず治安のよい都市は安全性が既に満たされているため、利便性を求めてますます都市部に人が集まり、結果的に群れているように見えてしまう。』と考えます。
    根拠として、マズローの欲求段階説が挙げられます。
    (まず生きるための欲求がある。)
    東京やアジア諸国の治安の良さと人口密集具合は、それを裏づけているのではないでしょうか。
    逆に多くのスラムが形成され、安全性に問題のある都市では、人は郊外に住む。
    (もっとも、東京の治安のよさも、既に幻想かも知れませんが…。)
    ただし、リタイヤした世代は都心の会社に通勤する必要がないため、上記の仮説が当てはまらない可能性はあります。
    例えばガーデニングや家庭菜園を楽しみたい人は郊外の庭付き一戸建てに住み、戸建てはメンテナンスが大変なため、利便性を求めて都心のマンション住まう老夫婦もいますので。
    以上、簡単ではありますが、自分なりの考えをまとめてみました。

    • 内田和成
    • 2007年 10月 16日

    溝本さん、YK@UKさん、KTYM4Aさん
    コメントありがとうございます。どれもおもしろいですね。
    群れて済むというのが議論を呼んでいるのはおもしろいですね。そんなに深い意味を持たずに使ってしまったのですが、皆さんの言うようにただ密集して一緒に住んでいるのとグループを作ったり、同質化して住むのでは訳が違いますね。そのあたりの指摘はなるほどと思ってコメントを読みました。ありがとうございます。
    またKTYM4Aさんのマズローの欲求5段階説もおもしろい視点ですね。確かに衣食住の確保や安全の確保は何もまして重要なのかも知れません。しかし、東京にしろ、大阪にしろ、あるいは仙台・札幌のような中核都市はどこも同じ顔をしているのは、日本人の欲求が同質化している証なのでしょうかね。
    京都みたいな個性的な大都市があってもいいような気もしますが、大きくなると東京がNYやロンドン、パリ、香港、上海などと似た感じがするように、皆同じになってしまうのでしょうか?
    YKさん、どうでしょうか?ロンドンと東京はやっぱり違いますか?

    • YK@UK
    • 2007年 10月 16日

    お忙しく、また体調を崩されている中、深夜遅くにコメントいただきありがとうございました。
    先生からご質問のありましたロンドンと東京の違いと、都市が大きくなると同じになるかについてコメントいたします。
    まず、ロンドンと東京の違いについては、
    ロンドンは東京に比べて都心の市街地の規模が小さいこと、古い建物が多いこと、高層ビルがほとんどないこと、都心に緑・公園が多いことなど違いを感じることは多いです。
    一方で、都市が大きくなると同じになるかについては、都市の規模や既に存在する建物などが異なる以上、同じにはならないまでも、都市が大きくなると都市機能が分化し、大都市間で同じようなエリアが存在するようになる結果、似た感じになるのだと思います。
    具体的には、都市化する(人が群れて住む)ことによって、大都市ほど多くの商品・サービスを提供する事業者が存在するようになり、次第に、都市機能の分化(百貨店が集まるエリア、高級ブランド店が集まるエリア、劇場が集まるエリア、金融機関が集まるエリアなど)が進んでいくためです。これは仮説ですが結果として同種の業態の店が集まることは多いように感じます。
    この結果、例えば、東京以外の大都市に行ったときに、自分の持つ東京の街・エリアのイメージ(大きな百貨店が集まっている→新宿、高級ブランド店が集まっている→銀座など)と東京以外の大都市のエリアのイメージとを重ね合わせるようになり、東京に似ていると感じるのではないでしょうか。
    また、世界の大都市にある高級ブランド店や高級ホテル、ファーストフードの店などはグローバル企業のものが多く、余計に似ていると思わせる要素があるのだろうと思います。

    • 内田和成
    • 2007年 10月 20日

    ウサギ小屋ネタが思ったより盛り上がったので、うれしいです。
    確かに商業集積はどこの都市にもありますが、大都市になればなるほど似ている気がします。
    上海でも伊勢丹やブランドショップが並ぶ繁華街として淮海中路や南京路があり、一方で日本で言えば新宿副都心や臨海副都心に相当する浦東地区がある。おまけに空港も元々国際線も飛んでいて現在は国内線専用になっている虹橋空港があり、国際線専用の新空港として浦東空港まである。まるで、羽田と成田の関係である。
    こうした都市の類似性はYK@UKさんが指摘するように大都市ほど当てはまる気がします。そうなると、街の個性を作るものは何なんですかね?

    • YK@UK
    • 2007年 10月 22日

    街の個性を作るものは何かということですが、私は、その街の消費者の特性(例えば、若者or中高年or高齢者、学生or会社員or主婦or退職者、日本人or外国人、賑やかなところが好きor落ち着いたところが好きなど)ではないかと思いました。
    これは、どのように街が形成されていくかということをイメージして考えたのですが、例えば、都心の場合(消費者と住民が異なる場合)だと、商業施設の開発事業者が想定する消費者に合った施設を作った結果、その街に来る消費者に合った店舗が(商業施設外も含めて)増えていくことにより街の個性が作られていくのだろうと思います(新宿や渋谷、原宿のイメージ)。また、開発事業者ではなく、住民の特性から個性的な街が形成され、形成された個性的な街に住民以外の人も消費者として訪れるようになる場合も考えられます(大久保のコリア・タウンのイメージ)。
    一方、都心以外の場合(主な消費者と住民が同じ場合)では、大学の有無や都心への通勤環境の良し悪し、生活環境(公園や河川の有無)などにより、学生が多く住むことや社会人が多く住むことにより、それぞれに合った店舗が出来てきて、街の個性が作られていくのだろうと思います(代々木上原や下北沢のイメージ)。
    このように、色々と街の形成過程は考えられるのですが、結局は消費者が求める商品・サービスを提供している事業者が街を形成していく以上、その前提となる消費者の特性が街の個性を作っていくのだと思います。

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