今月の日経新聞「私の履歴書」は経済学者の青木昌彦さんである。
ある企業の研究所のアドバイザリーボードを何年間か一緒に務めていたことがあって、人となりを知っているつもりだったが、今回改めて彼の学生時代の話を読んで本当にびっくりした。
学生運動をやっていたことは他の人から聞いていたが、あれほどの筋金入りの闘士だったとは・・・、現在の温厚な雰囲気からはとても想像も出来ない。こうした学生運動の経歴と学者としての業績がどうリンクしているのかは私のようなものには残念ながら理解できないが、すごい人だと改めて認識した次第である。
さて、学生運動の話は前半で終わっているのだが、今日10月16日はアメリカにおける経済学の恩師のミネソタ大学のハーウィッツ氏についてである。このコラムの最後の方に、「彼(ハーウィッツ氏のこと)は『馬にでも分かる講義』を目指していた」とある。そして難しいことを難しく説明するのは学者なら誰でも出来るが、難しいことを易しく説明するのは難しいと続いている。
私もまさに同感である。というのも私の大学における講義方針は『大学の先生は一般に易しいことを難しく教えるのがうまいが、私は難しいことを易しく教えるのが得意である』と言っているからである。そして、学生に対してもし私の話が分からなかったら、それはあなた方の頭が悪いのではなく、私の説明がへたくそなためだ。だから気軽に「先生、分かりません」と言ってくれてとまで言っている。
ちなみに青木さんがハーウィッツ氏のことを書いているその日に、ハーウィッツ氏のノーベル経済学賞受賞のニュースが飛び込んでくるのだから、青木さんには何かが憑いているのに違いない。
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