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壁を壊す

知り合いに勧められて読んだら、すごい企業改革物語だった。
きわめて古い体質で利益も出なかった同和鉱業を、体質改善し高収益会社に変身させた現CEOの吉川廣和氏が書いた「壁を壊す」という本だ。

Kabewokowasu

吉川氏はとにかく型破りな経営者だ
本社を破壊した話が一番おもしろい。教科書なら、まず効率化の知恵を絞り、業務を改善し、社員を教育するとなっているが、自分はそんな悠長なことは出来ない。肥大化が問題なら物理的に小さくしてしまえばいいといって、いきなり本社スペースを6割にしてしまったそうだ。
これ以外にも本社のオフィスを固定した机や書類スペースを持たないフリーアドレスにしてしまった話とか、役員室を廃止してしまった話など、乱暴きわまりない本社改革の話が満載されている。

あるいはグループ会社のスーパー事業から撤退するときに、その事業を別のスーパーに売却した話が載っていた。売却に当たって、従業員の雇用を守るように約束したが、実は余計なお世話で、実際ふたを開けてみると先方の勤務条件が厳しかったためにその会社に残れるのに残らなかった人が半分いたなんていう話も紹介されている。
工場撤退を決めたが、その事業部門の人たちが黒字なんだから何とか継続させてくれと納得しない。それでは只同然であなた方に売ってあげるから、自分たちの金で続けたらどうかというと、それでは出来ませんという。結局会社の金なら続けられるという程度の話だったという話もおもしろい。

p68には「『全く新しい会社につくり変えること』である。そのためには、まず徹底的に破壊し、次に大胆な創造を断行する。しかもゆっくりではなく、スピードを上げて実践する。」とある

私なりの解釈は、吉川氏は企業を改革するのに評論家はいらないという考えで、反対があってもやりきる勇気が必要だと言うことを身をもって実践した経営者だと思う。
もちろん、どうしてそうしなくては会社を変えられなかったのかと言うこともきちんと描かれている。皆さんが自分の会社でここまでやれるかどうかは別として、企業変革の物語としては異色であり、一読に値する。

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コメント

    • ごりらいも
    • 2007年 12月 10日

    私も読みましたが素晴らしい書籍でした。
    会社の金だったら事業を継続出来るというけれど、身銭を切っては出来ないというあたりは実に面白い。
    コンサルと事業会社の人間の違いに「リスクを取る・取らない」の話が出てくることがありますが、事業会社の人間もリスクなんて取っていないではありませんか、なんて。
    極論ですが。

    • 内田和成
    • 2007年 12月 12日

    ごりらいもさんへ
    コメントありがとうございます。
    私のよく知っている企業の役員の方もこの題名に惹かれて読んで、おもしろかったと言ってました。

  1. 【読書メモ】壁を壊す 吉川廣和

    今年22冊目。満足度★★★☆☆ ビジネス書大賞Biz-Tai 2010で、総合1

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