先日乗ったタクシーにこんなチラシが載っていた。
「きっといつかが今なんだ」、なかなか泣かせるキャッチフレーズはないか。要するに昔からいつかはやりたいと思っていた楽器を今こそ習ったらどうですか、再開したらどうですかという誘いのパンフレットである。楽器のヤマハのタクシー広告だ。
ニュースで見たのであるが、最近ヤマハ音楽教室にいい年をした大人の生徒が増えているという。
少子化で、ヤマハの築いてきた「子供に楽器を習わせる音楽教室」→「やがて楽器購入」というビジネスモデルに限りが見えてきた。そこでヤマハが力を入れているのが、人数的にも最大勢力でかつ定年を迎えつつある団塊の世代だそうだ。彼らは高度成長経済時代に20代・30代を迎えたことから、どちらかと言えば仕事中心、またいつかはマイホームを夢見て余暇などに十分時間やお金を使えないまま60歳を迎えてしまった、あるいは迎えつつある。彼らは高校や大学時代に弾いていた楽器を弾かなくなったり、やりたいと思っても出来なかった楽器があるらしい。
書道用の墨汁会社を経営している私の友人が最近は少子化の影響で、小学校向けの墨汁の販売量が減っているので、中高年向けの書道の普及に力を入れているといっていた。これも同じ話だ。
そうした若い頃は出来なかった夢を今満たしましょうというマーケティングはこれから増えてくるのではないかと思われる。団塊の世代はこれまで、自分のことは後回しにして、会社のため、家族のために働いてきた。あるいは家を守っている主婦も多かれ少なかれ同じ思いを持ってきている。そうした呪縛を取り払ってやれば、楽器に限らず巨大のマーケットが誕生することは間違いない。既に海外旅行市場は、花開いている。
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