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100の引き出し

海外在住のGOさんのリクエストで以前「創造力」を送ったところ、感想文の代わりに素晴らしい贈り物をもらいました。本人の了解を得て紹介します。

簡単に言うと、単なる感想文ではなく、内田に貢献できることはないかというのを、創造力の文中にある「非常識に考えろ」p233を活用して考えたそうです。
その結論が、異業種格闘技の事例を100考えてみようというのだから、感心すると言うより、恐れ入りましたです。

その際、GOさんは以下のように考えたそうです。メールを引用して、紹介します。
"先生の「異業種格闘技」の定義は、
1.異なる事業構造を持つ企業が
2.異なるルールで
3.同じ顧客ないし市場を
奪い合う競争である、とのことですが、やはり「異業種格闘技」の肝は、2番目の「異なるルールで」であり、「異なるルールで」とは、「既存企業がこれまで生み出してきた付加価値を低下させる変化をバリューチェーンに加えること」ということだと考えています。
内田先生のカテゴリも、全てバリューチェーンの変化でしたので、念頭に置かれているのはこういったことだと勝手に思っています。"

さて、お待ちかねの100の事例です。
ただし、本人がこれは異業種格闘技ではないのではと思ったのもはいているそうで、それにはボツと記入されています。

「go_list.xls」をダウンロード

また、こうも書いてくれています。
"100個出していく中で感じたことは、以下の通りです。
・「置き換え」が多い(単に私の発想が限定的?)
・「既存企業の参入が多い」(単に私の発想が限定的?)
・世の中に多角化のケースが余りに多いため、異業種格闘技と混同しがち。
(私自身多角化と混同している例が沢山ありますし、参考までに他の人に例を聞いてみたところ、全てが多角化でした。)
・異業種格闘技に「意図」は必要でしょうか?(卓上時計とPC内臓時計の例など)
「意図」がないところは、単に「淘汰」でしょうか?
これをブレストの材料にして頂いたり、これで議論を促進できるようなものとなれば、幸いです。"

多角化との区別は難しいですね。と言うのも、自社にとっては単なる多角化でも、参入された側から見ると、とんでもないルールでやってきた黒船と言うこともあるでしょうし、なんだかんだ言ってもこれまでと同じルールなのであまり怖くないと言うこともあるでしょう。

話は100のリストに戻りますが、これは20の引き出しならぬ100の引き出しです。
大変な力作ありがとうございます。とてもうれしいです。
もちろん、活用させてもらいます。
GOさんありがとうございました。

ちなみにGOさんはご自身でブログもやられていると言うことなので、紹介させていただきます。
「Keep Going! 逆張り思考法」 と言うしゃれたネーミングです。
http://keepgoin.blog26.fc2.com/

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コメント

    • リンリン
    • 2008年 2月 06日

    とてもとても懐かしい異業種格闘技!内田先生の授業で最初伺ったときにとても刺激的でした。GOさんの資料を拝見して改めて2つの理解ができるかと思います。
    1つは、異業種格闘。
    商品/サービスを提供する側(企業)の視点から、受け入れる側(消費者)にとってどのような価値を提供しているかの目線に換わって見えたものだと考えています。卓上時計を見るか、PC画面の右下の時計、携帯電話を見るか、使う人にしてみれば時間が分かる価値を提供してくれるものならどれでもよくて、実際にそれらの商品の戦うことになってしまう。単体の商品/サービスの場合、このような結果的な話が多いかと思います。
    もう1つは、異業種格闘技。
    時計のような単体の商品ではなく、ソフト・ディバイス・コンテンツ・インターネットのような複数の商品とサービスを組み合わせて初めて価値を出すものに関して、組み合わせの中、どう自分のビジネスが他のビジネスのおまけにならないよう、それぞれのプレイヤーが意図的に考えることだと思います。Microsoftの対Google戦略はそういうことでしょうか。
    異業種格闘は一種の考え方として分かりやすいのですが、異業種格闘技こそ、深い深いですねぇ・・

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    • 内田和成
    • 2008年 2月 06日

    リンリンへ
    久しぶり、コメント書く余裕があると言うことは、元気でやっているようですね。
    リンリンの言う異業種格闘は、私が言っている置き換えに近いのかな。
    それに対して、異業種格闘技はバリューチェーンの要素が絡み合って、新しい価値を提供したりするケースを言っているのかなと推察しました。

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