ブログ

リーダーの引き際(2)

ちょっと日本を離れている間に、政治が更におかしくなっているようですね。というより、リーダーの資質が問われているといった方がよいのかも知れません。

私はリーダー(特に経営者を意識していますが)の重要な役割に後継者を選ぶことあるいは養成することを上げています。興味のある方は以前掲載した「管鮑の交わり」のコラムを参考にしてください。
http://uchidak.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_a3b3.html
日本企業が直面している多くの課題はここにあると思っています。それは以前と同じようなやり方で、これまでと同じようなタイプの後継者を指名したのでは会社はうまくいかないと言うことに他なりません。そのために私は経営者育成に力を入れているのです。
ちなみに、後継者育成という視点では、安倍首相を選んでしまった小泉首相は良いリーダーだったとは言えないと思います。ただし、今日の本題はこちらではありません。

リーダーに求められる資質にはいろいろあると思いますが、資質とは別の次元で、リーダーにとって非常に難しい意思決定が自分の引き際だとも思っています。これについても以前書いた「リーダーの引き際」というコラムがあるので参照してください。
http://uchidak.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_8e46.html
世界一に何度も輝いたアニカ・ソレンスタムが今年いっぱいで引退するのも、そこに引用してる村口プロと同様な理由ではないかかと思っています。

しかし、組織のリーダーとプロ選手の最大の違いは組織を預かっていることの重要性&重みです。組織のリーダーのやめ方については、実は個人的な美学があるのですが、それはまたの機会にするとしても、今回の福田さんにはちょっとびっくりしてしまいました。前任の安倍さんが途中で政権を投げ出して自民党は国民からの信任をなくしたのですから、そのことを踏まえればどんなに醜態をさらしてもみんなからやめろコールが起きるまではやり続けるべきだったと思います。それに耐えられないというのなら、安倍さんの後任を引き受けるべきではなかったと思います。死者にむち打つようで申し訳ないのですが、リーダーというのはそれだけの責任を持つべきですし、社員の生活(人生)を預かっているのですから。(首相の場合はもっと大切な国と国民の将来ですね。)

この脈絡で言うと、何か不祥事が起きたときにトップが責任をとってやめるというのも、いかがなものかなと思っています。要するに組織が良くなるためにリーダーとして何をなすべきかが大事なのであって、社会の評判や個人の名誉は二の次になると思うのです。そういう意味で、つまらない些細なことでも辞任を要求するマスコミはバカだと思っています。

関連記事

  1. スターの育成
  2. リーダーの引き際
  3. リーダーの決断
  4. 管鮑の交わり
  5. プロフェッショナルの条件とは
  6. 危機のリーダーシップ(続き)
  7. 散るぞ悲しき
  8. 言う・言わないの勘所

コメント

  1. zuKaoでございます。
    > 私はリーダー(特に経営者を意識していますが)の
    > 重要な役割に後継者を選ぶことあるいは養成する
    > ことを上げています。
    私のような平均的30代の社員にとっては、経営と
    いうより新入社員や中途社員の育成が身近なリーダー
    シップを発揮する場だと思っています。しかし、
    ここ数年は新入社員や中途社員、更には派遣社員の
    方々を放置する状況が散見されます。私の属する
    組織固有の問題であればまだ救いですが、一般的な
    問題だとすれば深刻だと思います。草の根で声を
    かけるのも限界がありますが、地味ながら声かけ、
    更にはおせっかいながらアドバイスをしたりしています。
    > それに耐えられないというのなら、安倍さんの後任
    > を引き受けるべきではなかったと思います。
    > 死者にむち打つようで申し訳ないのですが、リーダー
    > というのはそれだけの責任を持つべきですし、
    > 社員の生活(人生)を預かっているのですから。
    上記と重複しますが、自分の部下の面倒も見れない
    人は、リーダーを辞するべきだと思っています。
    私は幸いにも、過去の上司に新入社員の教育について
    シンプルに教えて頂きました。「新人を生かすも殺すも
    オマエ次第」と。その言葉は、最近やっと分かるように
    なりました。
    > そういう意味で、つまらない些細なことでも辞任
    > を要求するマスコミはバカだと思っています。
    たしかにマスコミはいけないと思いますが、もっと
    いけないのは無関心だと思います。今日、会社で福田
    さんの辞任の話題は全く聞きませんでした。国民も
    もう少し危機感というか関心を寄せてもよいと思い
    ます。発言を流行語のように捉えている場合ではない
    と思います。会社で考えれば、社長が突然、「ハイ、
    辞めます」と言っているようなものです。そんな時に
    社員(=国民)が笑っていたりするのは異常に感じてしまいます。
    長文・乱文で失礼いたしました。頑張って考え、
    頑張ってまとめて書いたつもりです。

    • 内田和成
    • 2008年 9月 13日

    zuKaoさんへ
    中間管理職的な立場で苦労しているようですね。私は普通の会社のマネジメントは経験したことがないのですが、BCGのOBで家業を継いだ人間から「内田さんは良いですよ。優秀な社員をリードすればいいのだから。内の会社なんか、ちょっときつく叱ったら、すぐ辞めちゃいますから・・・」と言われた話を思い出しました。
    人を育てながらも業績を上げるというのは大変ですね。クライアントで人材育成をやるときにも感じる話ですが、ミドルマネジメントの人はもっと出来る人間を自分の部下にください。でも、自分で育てるのはいやですという人が多いです。
    個人の限界は確かにありますが、自分だけでも人を育て続ければその人たちがzuKaoさんの学校の卒業生となって活躍してくれると思いますよ。
    コメントへの返事が遅れて済みませんでした。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

RSS 内田和成のビジネスマインド

  • BCGのコンセプト紹介の本を書きました 2016年11月3日
    今年2016年は、BCGが東京に世界で2番目のオフィスを1966年に開設してから...
  • 事業アイデアの発想法 2016年10月28日
    今日はビジネススクールの内田ゼミにBCG時代の同僚で現在事業開発のコンサルタント...
  • 学部7期生 2016年7月8日
    今日の合同ゼミには学部7期の卒業生の中澤君と薬丸さんも顔を出してくれました。明日...
  • ゼミ合宿 2016年7月8日
    今日は内田ゼミのMBA生と学部生の合同ゼミ初日です。例年土日の一泊二日でやるので...
  • 模擬授業のお知らせ 2016年7月6日
    来る7月24日(日)の午後、早稲田大学ビジネススクールでは2017年度の入試説明...
PAGE TOP
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。