ブログ

周波を拾う

元Jリーガーでテレビのサッカー解説者などを経て、現在筑波大学のサッカー部監督をやっている風間八宏氏が、11月11日付の日経新聞のスポートピアというスポーツコラムになかなか良いことを書いていた。
「自分変える勇気を」と題して、自分が監督に就任してから、どのように大学生を指導してきたかという文章である。
本来ならもっと若いときに基礎鍛錬を施すべきだったのに、大学に至るまでそうした訓練を十分に経てこなかった若者が大学に入ってから変身できるのかという命題である。
彼に言わせると規律で縛るのではなく、自由の中で自分をどうつかみ取っていくかを説いたようで、結果として横並びの列に優劣が生じるようになり、個性が不揃いに分かれていったという。要するに大学に入ってからでも遅くなかったと言っているのである。
さらに、「規律とは自由の中にあるもの。あまりに自由で手がかりの少ないピッチの上で、自分の輪郭を縁取るもの。つまり"自律"であり、これを定めたものは勝手に伸びていく。」と記している。名言である。

そうした文章の中で私のアンテナ(最近書いたスパークする思考風に言えば「問題意識」)に引っ掛かったのが以下の文章である。
「本当はもっといたのではないか、彼らの発する周波を私が拾えなかったのではないかと不安にもなる。若者の夢を見る力の不足を平素から案じていたが、大人の作った社会にも彼らがいる以上、この命題は私たち大人に跳ね返ってくる。」
こうした考えを持って若者を指導する大人がいる以上、日本の指導者も捨てたものではないなと思った。自分もそうありたい。

関連記事

  1. デザインとは何かを発想すること
  2. 家に呼ばないのは心が狭いから
  3. 幻の電子マネー
  4. スターの育成
  5. デザインの引き出し
  6. 郵便局とランドセル
  7. ユーザーシーン
  8. ナノバブル

コメント

    • たろ
    • 2008年 11月 13日

    >本来ならもっと若いときに基礎鍛錬を施すべきだったのに、・・・
    耳が痛いですが、あとで気づいても遅すぎることはない、というのは勇気づけられる言葉です。
    (私には)
    >「本当はもっといたのではないか、彼らの発する周波を私が拾えなかったのではないかと不安にもなる。若者の夢を見る力の不足を平素から案じていたが、大人の作った社会にも彼らがいる以上、この命題は私たち大人に跳ね返ってくる。」
    教育者だけでなく、全てのビジネスパーソンがこのマインドを持つ必要がありますね。
    どんな仕事をしていても、後継者を育てていくのは大切な事です。
    これは日本への貢献にもなります。
    この意識を持っていれば、社会企業家とまではいかなくても、身の丈レベルで社会貢献につながることでしょう。

    • 内田和成
    • 2008年 11月 16日

    たろさんへ
    仰るとおりです。
    私は後継者育成というのがリーダーの大事な役割だと思っていますが、それは何も経営者だけでなくミドルマネジメントにも言えることだと思います。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

RSS 内田和成のビジネスマインド

  • BCGのコンセプト紹介の本を書きました 2016年11月3日
    今年2016年は、BCGが東京に世界で2番目のオフィスを1966年に開設してから...
  • 事業アイデアの発想法 2016年10月28日
    今日はビジネススクールの内田ゼミにBCG時代の同僚で現在事業開発のコンサルタント...
  • 学部7期生 2016年7月8日
    今日の合同ゼミには学部7期の卒業生の中澤君と薬丸さんも顔を出してくれました。明日...
  • ゼミ合宿 2016年7月8日
    今日は内田ゼミのMBA生と学部生の合同ゼミ初日です。例年土日の一泊二日でやるので...
  • 模擬授業のお知らせ 2016年7月6日
    来る7月24日(日)の午後、早稲田大学ビジネススクールでは2017年度の入試説明...
PAGE TOP
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。