先週発売になったThink!秋号で私の持論の論点の重要性を再度取り上げてもらった。
「気づきの技術」の特集の中で、「論点思考とレーニング-真の問題に気づく論点抽出の方法」というタイトルだ。
一言で言えば、いくら問題解決力が優れていても、間違った問題を解いたら何にもならないと言うことである。学校の勉強であれば、試験の出題者の出した問題を解けばいいので、どちらかと言えば正しい解き方、あるいは効率的な問題の解き方が教育の中心になっている。
ましてや国語の問題に数学の問題が紛れ込んだり、この中には解くべき問題と解いてもしょうがない問題が混じっているので自分で判断しなさいなんてことは絶対になり。
ところが、ビジネスの世界では誰もあなたが解くべき問題はこれであると教えてくれない。上司がいても、本当に正しい問題を与えてくれるかも確かではない。そこで自分で問題を発見したり、定義しないとならないのだ。
その段階で解くべき問題を間違えると、いくら優れた答えを出したところでビジネスには何の役にも立たないと言うことになってします。
さらに問題は人によって違うこともあれば、時間と共に変わってしまうこともある。
したがって、ビジネスでもっとも大事なことは問題を解くことではなく、解くべき問題を定義する=論点抽出だというのが主旨である。
こうしたことを取り上げたので興味がある人は、是非本誌を買って読んでみてください。
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>ビジネスでもっとも大事なことは問題を解くことではなく、解くべき問題を定義する=論点抽出だ
先生のお言葉、まさにその通りで多くのビジネスマンが意識し、実践せねばならない事だと感じます。
さらに感じたこととしまして
当たり前すぎる事ですが、論点抽出に当たっては、どんなビジネスであれ「顧客志向」がなければならないという点があります。
顧客を向いていない人の思考では、「論点」が内向きなもの(ex.自身の社内における地位向上に向けた解決を図るなど)になってしまいます。
キレイ事のようですが、「顧客志向」はあって当たり前。
その上でいかに
・イノベーションを起こし、
・収益性を高め
・競争力を高めていけるか
が、今後の企業の浮沈を決めるものになっていくと感じます。
いつも楽しく読ませていただいています。コンサルティング会社からただいま留学をしています。ですので、上記の記事がすぐに読めないのが残念です。
解くべき問題を定義する=論点抽出が大事なことに同感です。
たとえば、解決できないような問題を定義してしまうと、解決策を練る段階で息詰まってしまうし、実は問題ではないのに、問題と定義しても、そこから出てくる解決策には全く意味がなくなってしまう、というように理解をしています。
いかに、本質的で、適切なレベルの問題を定義するか、私も今後も磨き続けたいと思います。
いつも楽しく拝見しております。
今回のThinkの論文は目から鱗の内容でした。
論点思考の第一人者である内田先生ならではです。
その人がおかれている立場や、タイミング等により問題のレベルも違ってくることが、企業経営する立場に携わってみて、最近身にしみて実感しています。
それにしても、論点抽出(本質的問題の発見)を特定することは難しい。表出している現象を「大論点」と安易に特定しがちになりますが、決してそうではなく、その背後に潜むイッシューの共通項が何であるかを特定することが、論点抽出のポイントであると自分なりに解釈しています。
(ビジネススクール時代の訓練が、本当に活きています。)
「論点抽出」の重要性が解かれた書籍の早期発刊を、ただただ望むばかりです。
たろさんへ
久しぶりですね。
顧客志向を本当の意味で追求するのは実に難しいことですね。というのも、組織はどうしても組織維持を第一の目的にしてしまうきらいがあり、当初は顧客志向を目指して構築した社内システムが、気がつくと内なる効率化を目指して突っ走ってしまう可能性が高いからです。
twkさんへ
おっしゃるとおりで、いくら論点を正しく抽出できたとしても、それが解けない問題、あるいは実行できない問題だとすれば、ビジネス的には良い論点とは言えません。
このあたりは、単行本ではきちんと取り上げようと思っています。
内田和成
植木さんへ
今回の記事が、実際の経営に役立ちそうで、うれしいです。
論点抽出を実際にどのようにしているか、機会があれば教えてください。
内田先生
>久しぶりですね。
覚えていて下さったのですね。
ありがとうございます!
>当初は顧客志向を目指して構築した社内システムが、気がつくと内なる効率化を目指して突っ走ってしまう可能性が高いからです。
私のいる組織も同じような傾向があります。
自身の数少ない経験を一般論に高めてしまう気はございませんが、私の見ている範囲では、「各人が顧客よりも、社内の人間関係を優先してしまう」ようになることが、問題だと感じています。
「顧客志向」という側面ではなく、反対側の自社からの側面で議論してしまっては、当然論点にズレが生じてしまいます。
見る視点を共有できなければ、他者と論点を合わせることもできません。
個人の場合でも、何のため・誰のためという視点を欠くと、論点(問題点)の抽出が適切に行えない状況に陥ってしまうと思います。
見る視点、これには注意を払う必要があると日々感じております。
たろさんへ
その通りですでね。論点抽出で大事なことの一つは、誰の論点かという点をはっきりさせることです。
その際、顧客視点は重要なのですが、社内で改革を成し遂げていくためには、社内の意思決定者の視点から見た論点というのも大事になると思います。
平凡ですが、市場のベクトルと自社のベクトルが一致して、初めて事は成し得ると思っています。