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経営者のプロ化

今月の私の履歴書は川淵三郎氏であることは、以前も書いたとおりである。
2月18日付は、ドーハの悲劇と題して、日本が初めてワールドカップに出られるかも知れなかったのが、最後の最後にダメになった話が書いてある。
その中で、私が触れたい話が2つある。

一つはそのときの日本代表監督ハンス・オフトについてである。彼のリーダーシップのすばらしさについては、別途項を改めて触れたいと思うが、今日はその話ではない。どうしても待てない人は、私の著書「仮説思考」にも詳しく書いてあるのでそちらをご覧ください。

さて、日本サッカーの父がドイツ人コーチクラマー氏だとすれば、ハンス・オフトは日本のサッカー界が初めて雇ったプロの代表監督だ。川淵氏に寄れば、それまでの代表監督は企業に頭を下げて、そこからエースを出してもらってやっていたため、お金はかからないが、逆に成績が悪くても辞めてもらうのが難しかったと書いてある。そして、そんなアマチュア監督に個性はプロのラモスや三浦知良を束ねることなど出来るはずがないとも書いてある。これはおもしろい見方だ。

この議論を内田流に進めると、代表監督の選考に当たってはオフトがサッカー選手として優秀であるとか、金の稼げるプロ選手だったということとは関係ない。逆にコーチ(監督)として、実績があり、優秀かどうかというのがプロの監督の評価基準だったはずだ。

コンサルティング会社では、どんなにマネジメント能力が高くても、コンサルタントとしてのスキルがいまいちの人間はリーダーを務めるのが難しい。弁護士事務所もきっとそうだろうなと思う。
でも一般の企業は必ずしもそうではない。というのもいろいろな職種があるからだ。そうだとすると優れたリーダー(経営者)というのは、仕事のプロではなく経営のプロとなるはずだ。そうなると、コンサルティング会社より、普通の企業の方がよほどプロの経営者が求められるのに、現実は中から昇格した人ばかりなのは、どう解釈すべきなのだろうか?

  • 外に人材がいない?
  • 社内に経営のプロにふさわしい人が育っている?
  • よく分からない外から来るプロの経営者より、経営者としては一人前といえないが中のことを知っている人を選んでいる?こんなことないよね・・・。

誤解があるといけないので、あえて書いておきますが、私は外から経営者を招聘するより、社内で育てた経営者の方が経営はうまくいくと思っています。問題はどう見つけて、育てるかです。

もう一つは感動の話であるが、これはまた明日。

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コメント

    • key
    • 2008年 2月 29日

    時と場合によるのでは、ないでしょうか?
    本当に会社が危機の時は、日産のゴーン氏。
    多少、まだ余裕がある?時は、松下の中村氏のように・・・
    でもわたしも、やはり社内から経営者を出す方が
    よいと思います。
    やはり、社内のこと(企業文化・社内の人間関係など)を良く知っているので、しがらみもあるでしょうが、スムーズにいくのではないでしょうか?
    でも、どっちなのでしょう?難しいです・・
    プロ野球界をみると、その球団OB選手が監督やコーチをやっていることが、多いですが・・
    でも、日ハムのヒルマン監督の例もありますし・・
    あっ!!
    実は、そのトップについている参謀がカギを握っているのかもしれませんね・・・
    燕の楽毅みたいな・・・(本読みました!)
    いつも、先生に質問して悪いのですが・・・
    同族企業の場合は、どう考えますか?
    世襲制を敷いているところは、どんなに頑張っても一般社員は社長にはなれませんが・・

  1. FIFA副会長ヨハンソン激昂。「私の履歴書」のめちゃ面白い暴露話!

    サッカーファンの一人として、日本経済新聞の終面に掲載されている、サッカー協会の川淵会長の『私の履歴書』を毎日楽しみにしている。
    今日の記事を読むと、もうそろそろ収束しつつある(つまり「終」が近い)ようなので、今回の約30回の中で最も面白かった裏話について書いておきたい。
    それは、タイトルにもあるヨハンソン激高事件。
    第19回で、大きく揺れ動いた「2002年ワールドカップ招致活動」についてふれているが、その中で「これだけは聞いたことない」裏話。
    アベランジェの権力減とヨーロ…

    • 義堂
    • 2008年 2月 29日

    プロの経営者が求められるのはこれからなのではないでしょうか。今後プロフェッショナルと呼ばれる経営者が育成され、その方達が活躍する時代が訪れると思います。会社のことを一番良く判っているからという理由での内部昇格は良いこともありますが、同じDNAの中で育った方達との経営では、それ以上の発想は生まれず…。企業にはいつも新しい血を注ぐことが大切と感じます。
    同族会社も会社の存続を第一義に考えると、どこかで世襲を止める決断が必要かもしれませんね。大企業のグループ会社もしかりで、常に親会社からトップが降りてくる仕組みだと、社員のモチベーションも上がりません。その方の実力と人間力とでトップが選ばれる時代はもうすぐだと期待しています。

    • 内田和成
    • 2008年 3月 01日

    Keyさんへ
    同族会社の場合には、外部の人間が社長になるべきかどうかより、一族以外の人間、特に社内で実力がある人間が社長になるべきかどうかという議論が先に来ますね。
    私はこの問題に教科書的な正解はないと思っています。本田宗一郎さんのように自分の息子や一族につがせなかったために、世界を代表する企業になった例もありますが、武田やキヤノンのように一族の経営者が会社を変革して成功している企業もあります。
    しかし、たとえ同族企業でも社長が優秀な人間をナンバーツウや要職に就けることが出来ない企業は大きくなれないし、長続きしないことは間違いないと思います。

    • 内田和成
    • 2008年 3月 01日

    義堂さんへ
    プロの経営者が育つためには、育成する機関(たとえばビジネススクール、外資系企業、ベンチャー企業)がたくさんあることと、それらの候補生を使ってみようとおもう大企業の存在の両方が必要ですよね。
    前者はだいぶ機会が増えた気がしますが、後者の経営者候補生にチャンスをあげようという試みはまだまだのような気がします。

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    いよいよ来週から大学院2年目がスタートする今の仕事と両立することはもちろんかなりHARDだってことはわかっているが、実務も学問も今年がほんとに勝負!!
     
     
    後悔のないように全力に取り組む所存であるただ学費がヤバイ。。キャッシュフローが・・・・・。このサブプ…

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