今月の私の履歴書は経済学者の篠原三代平氏だ。私は工学部出身だが、卒業論文で線形計画法を使用した経済モデルをプログラムしたので、その時に必要に迫られて勉強したのが篠原氏の近代経済学だった。詳しくは覚えていないが、産業連関表を使った産業連関分析を行った記憶がある。そういう意味で大変懐かしい。
その篠原氏が11日の稿で、経済学者が陥りがちな罠について書いており、大変示唆に富んでいた。たとえば経済学では静態的なかつ完全競争を前提に考えるので、たとえば八幡制定つと富士製鉄が合併すると、独占(寡占)になるので鉄鋼価格が上昇し、生産量が減ると考える。だから合併には反対となる。
ところが、実際には両社の合併により同社の技術力は増し、価格は国際価格と比較して下がることになったという。篠原氏に言わせれば、「現実は教科書とは異なる」。もっと時間軸を長く取って、発展過程の中で独占や寡占の問題をとらえるべきだと言っていた。なるほどねという話だ。
こういう文章を読むと、時には経済学も企業経営の役に立つのかなと思う。
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