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異業種格闘技を仕掛けるのは誰か

少し視点を変えて、異業種格闘技を仕掛けられる側ではなく、仕掛ける側について考えてみたいと思います。
皆さんはどんな企業が異業種格闘技を仕掛けると思いますか。

私が考えたのは氏育ちの違いで考えた4通りですが、これ以外に分類方法を含めていろいろありそうなので、アイデアがあったら教えてください。

1)他業界の既存企業が参入
ゲーム業界に参入した電機メーカーのソニー、銀行に参入した流通業界のイトーヨーカ堂・イオン、消費者向けデジカメを最初に発売した電卓&時計メーカーのカシオ、化粧品メーカーの資生堂のトイレタリー分野(特にシャンプー)での戦い、音楽業界に参入したアップル、ドコモの金融事業への参入などがあげられます。
タイプとしてはこれが一番多い気がしますが、どうなんでしょうか?

2)ベンチャー企業
異業種格闘技参入者には、いわゆるベンチャー企業も多いと思います。少し古い話ではコンピュータ業界にパソコンをひっさげて登場したアップル、レコード業界を震撼させた貸しレコード業のTSUTAYA、自動車の中古車業界に革命を引き起こした中古車買い取りのガリバー、最近ではマイクロソフトにチャレンジしているグーグルなど、これも例が多そうです。最近のネット関連企業はみんなここに入りそうです。

3)黒船(海外からの企業)
日本のおもちゃ業界をぶっ壊したトイザらス、書籍業界に脅威を与えているアマゾン、日本の証券会社やメガバンクを恐れさせた米国インベストメントバンク、日本のホテル業界を変えた外資高級ホテル(フォーシーズンズ、パークハイアットなど)などがあります。

4)同業者の変身
例えば、路線便が当たり前の運輸業界で突然宅急便を始めたヤマト運輸、有料雑誌から無料雑誌に変身したリクルートなどですが、実は例が少ないのではないかと思っています。
是非これ以外のタイプを考えてみてください。

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コメント

    • 名無し
    • 2007年 1月 18日

    顧客囲い込みのためにサービスを拡充するカード会社なども異業種格闘技に該当するのでしょうか?
    クレジットカードに付帯されている旅行保険やロードサービスなど

    • 内田和成
    • 2007年 1月 18日

    Aさんへ
    コメントありがとうございます。
    カード会社も明らかに異業種格闘技の主要プレーヤーになっていると思います。
    一つには、カード決済だけでなく個人ローンや保険事業に乗り出して、他の業界の業務を浸食していると思います。
    一方で、航空会社や鉄道、家電量販店で始まったポイント制の中でも、キープレーヤーなれるかなれないかの瀬戸際だと思います。これは、全く新しいフィールドだと思います。
    最後に、カード会社はその決済機能を生かせば、電子マネー会社にも成り得ますので、そうなるとエディ、Suica、銀行などとも競争することになると思います。

    • than
    • 2007年 1月 23日

    はじめまして。
    このブログを発見し、素晴らしい発想に触れられて本当に幸運です。そんな中コメント欄を汚すことに恐縮していますが、お言葉に甘えて書かせていただきます。
    異業種格闘技という言葉にこだわった上で、用語が整理しやすいので新規参入について整理してみると、先生はルールという言葉で消費者のどういった欲求を満たせば商品なりサービスが消費されるのかを表し、そして、通常既存企業の商品なりサービスなりが消費されている市場がリングだとしていらっしゃるように思います。間違っていたらごめんなさい。
    そう考えると、異業種からの新規参入の仕方にはばっさり分けてルールを変える方法とルールを変えない方法の2つがあると思います(ほとんどの場合両者の要素を併せ持っているとは思いますが、どちらかが強いという意味で)。
    前者は柔道のチャンピオンに空手家が空手で挑むようなもので、消費者の異なった欲求を満たす方法をあみだし参入するのですが、その場合にもリングを切り分けて戦う場合と現状のリングのままで戦う場合、またはリングを大きくする場合もあるかと思います。いずれにしても、この態様での新規参入のポイントは新しい技術・仕組みの発明や消費者の変化を皮切りにして行われることではないでしょうか。先生の用いられた具体例では、セブン銀行(リングを切り分けるパターン?)・アップルの音楽配信(リングはそのまま?)・ガリバー(リングはそのまま?)・TSUTAYA(リングを切り分けるパターン?)など性質上ベンチャーが多いのかもしれません。
    後者のルールを変えない方法は、キックボクシングのチャンピオンに空手家がキックボクシングのルールで立ち向かうような場合です。この場合には、基本的にはリングもそのままで異業種からの参入というメリットを活かすのは、これまでの練習が活かせるといった場合、すなわち範囲の経済や異業種で培ったブランドが使える場合ではないでしょうか。例えば、ゲーム業界でのソニー、アップルのi-pod・携帯電話、ドコモの金融事業など他業界の既存企業の参入はあまねくこの要素を持っているように思います。
    こう考えると、異業種格闘技と無縁の業界とは既存企業が総合格闘家である市場なのかなと思いました。

    • 内田和成
    • 2007年 1月 24日

    thanさんへ
    コメントありがとうございます。
    まさにto the point のコメントと思います。
    リングという言葉、良いですね。
    私はルールすなわち戦い方の方ばかり考えていたので、少しハッとしました。
    実は、この後機会を見つけて書き込む予定ですが、異業種格闘技の戦い方には4通りくらいあると思ってお入りまして、それによって消費者に提供する機能なり便益が違うと考えていました。
    その考えとthanさんの考えをドッキングするとおもしろいかも知れません。
    そのときにまたコメントください。
    どうもありがとう。

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