毎週土曜日の夜9時からNHKで放映されている経済ドラマ「ハゲタカ」がおもしろい。
ハゲタカファンドと呼ばれた外資のファンドがいかにしてバブル崩壊後の日本の金融マーケットで稼いでいたかが如実に分かるドラマである。
原作は真山仁さんの同名の小説「ハゲタカ」である。私自身は最初に単行本が出版されたときに読んで大変おもしろいと思い、ずいぶん人に勧めた記憶がある。大企業から別の企業に再建の為に経営者として送り込まれた友人におもしろいよと勧めて感謝されたりした。
原作がおもしろいと、多くの場合映画やテレビの方がつまらなくなってしまうのであるが、先々週の1回目と先週の2回目を見る限り、テレビはテレビで全く違う娯楽作品に仕上がっており大変おもしろい。今までは常識となった外資系のファンドのビジネスのしかたなどが垣間見えるという意味でも参考になるドラマです。モデルとなった企業の固有名詞が分かるともっとおもしろいと思います。小説ではそれがどの企業か特定できるようになっていますが、さすがテレビ(それともさすがNHK?)でそれは分からないような仕立てになっています。
ここから先は個人的な見解ですが、日本社会や企業はアメリカに比べるとやはり甘ちゃんのところがあって、結果として外資系企業に食い物にされているのが、個人的には悔しい気がします。これは同様なテーマを扱った黒木亮さんの「巨大投資銀行」などを読んでも感じるところです。
結論としては、娯楽作品としてだけでなく、ファンドビジネスや企業再建の裏側を勉強できるという意味でも見る価値があるドラマだと思います。全6回シリーズなので、あと4回の放映があると思います。
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私もハゲタカを興味深く見ています。
買収・合併などとは無縁の世界にいる私にとって、このドラマはとても刺激的であり経営に対して厳しい姿勢を持たなければならないと、襟を正させられる気持ちです。
ここ最近はレコフの調査などを見てもM&Aの件数も増加しており、日本企業もある程度「この波」に慣れてきたとは思います。
しかし、日本企業は未だ無意味なMBOや三角合併への抵抗を見せ、グローバル経済の流れに抗っているようにも思えます。
ドラマを見て感じた事は、M&A等の裏には必ず不幸になる従業員がいるという事。
各種メディアからの情報で分かった気になってしまいますが、(経営感覚はないとしても)地道に頑張ってきた従業員がいる事を忘れてはいけませんね。
スティールなどのファンドにやられっぱなしの企業を見ていると、経営者に「従業員のためにもしっかり」と言いたくなってしまいます。
社外取締役なども然りですね。
放送時間は3回目と4回目だけ21時ではないようです。
皆様ご注意を。
KBSの文と申します。
PEFの中buyoutーfundについて感心をもって勉強しています。
先日先生がKBS授業中話したことで
毎回熱心に見ています。
先生の本、仮説の思考も読みました。
本当に勉強になっています。
これからもおいしい教えをお願いします。
ありがとうございます。
たろさんへ
確かに日本企業はまだまだいろいろなことを経験していかないと、海外から食い物にされてしまう可能性は高いと思います。
しかし、個人的には日本企業の従業員をプライオリティの上位に置く考え方は好きです。株主や顧客を重要視しすぎて、社員が不幸になっては元も子もないと思います。一方で、社員の首を切れないので我が社の建て直しは難しいと、うそぶいて結局社員を不幸にしてしまう経営者も多い。これは経営者失格です。
そうならないためにも人材の流動化の手段はもっとバリエーションがあった方がよいかなと思います。
ハゲタカの放映時間は、週によって違うようです。ご指摘ありがとうございます。
文さんへ
今週号の週刊ダイヤモンドの特集「ファンドが仕掛ける電機解体」はおもしろいですよ。是非読んでみてください。
個人的には、ファンドが買収に成功しても、本当にその企業が国際競争力を取り戻すようになるのかは疑問です。しかし、これは逆らえない流れだと思っています。
仮説思考も読んでくれたようでありがとう。
先生、
ファンドが仕掛ける電機解体を見ました。
実は僕、韓国LG電子のengineerでした。
分野は携帯のchipset designです。
それで、日本に来て、ずっと関心を持って
見ています。
これから面白い展開があると思います。
情報、ありがとうございます。
文さんへ
そうですか、LGのエンジニアの方でしたか。
韓国の電機メーカーも勢いがありますよね。今後は日本、韓国、中国のエレクトロニクスメーカーが三つどもえで戦う時代だと思います。