Jリーグの清水エスパルスが好調である。昨日の試合を終わった時点で、勝ち点41で18チーム中4位の位置をキープしている。首位浦和が勝ち点52なので、トップとの差は大きいが良い位置である。昨年度に長谷川健太が監督になって以来好調である。選手としての長谷川を応援していたが、まさか監督でここまでやるとは思わなかった。どちらかというと日本代表のキャプテンをやったこともある澤登の方が監督の素質があるかと思っていたのが、これでは澤登の出番はないのかもしれない。
さて、以前異業種格闘技の事例としてプロ野球が不調なのは、Jリーグに顧客を取られているわけではないという話をしたことがあるが、覚えていてくれただろうか。
最近の野球のテレビ中継を見ていると、それがよく分かる。NHKでは滅多にプロ野球の中継をやっていないが、大リーグの方は毎日のように放送している。もちろん放映権の関係もあるのだろうが、それにしても大リーグ偏重が激しい。それだけ、大リーグ放映の方がプロ野球より視聴率が稼げると言うことだ。すなわちプロ野球の競争相手はJリーグというよりは、アメリカのメジャーリーグだというのは、これを見ても明らかであろう。もちろんスポーツとしての競合という意味であって、TV放送という視点では他のTV番組すなわちクイズ番組・ドラマ・バラエティなどと視聴率争いをしている構図に変わりはない。
一方で、サッカーの方はちょっと変わった状況である。Jリーグの競争相手は野球ほどクリアには見つからない。選手がどんどんと海外に出て行くという点では、プロ野球と一緒であるが、それが必ずしも日本でのサッカーの人気にマイナスにはなっていない。というのもプロ野球と違って、TV中継依存のビジネスモデルになっていないためである。TVの視聴率で見ても、滅多に放送されない上にたとえ放送されたとしてもプロ野球よりさらに低い視聴率しか取れない。Jリーグのビジネスモデルはキー局のテレビ放映権にはあまり依存していないのである。それより、実際にスタジアムに足を運んでくれる人に大きく依存している。
さらに事態をおもしろくしているのは、Jリーグの試合とは別に日本代表の試合というのが年に何試合もあってこちらはTVのゴールデンタイムにも放送されるおいしい番組になっている。ただし、代表の試合はTVで見る人がJリーグの試合を見に競技場に通うことはあまりない。
となるとJリーグの競争相手というのは若い人が好む別のスポーツやスポーツ以外のエンターテイメントということになるのかもしれない。
皆さんはどう見ていますか?
まあ、いろいろ書いてきたがエスパルスには後11試合、この調子で頑張ってもらって何とか優勝争いに加わってもらいたいものだ。
本音は今年も降格争いの心配をしなくて済むのがうれしいというか、安心して見ていられるということだ。
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お久しぶりです。長崎の森です。
スポーツビジネスは専門ですので
コメントを。
「余暇時間を何に使うか」という観点だと
Jリーグの競争相手は内田さんの仰るように
他のエンターテイメントだと思います。
面白いのはそもそもエンターテイメントが少ない
田舎だと「みんなで集まって騒ぐ」という機会が
滅多にないためスタジアムで新たな楽しみを
発見して病みつきになる人がいるということです。これは新たにマーケットを創造していると言えるかもしれません。例えばJリーグ最初のころの鹿島やここ数年の新潟など。
詳しくは2003年にKBSで「Jリーグの経営」と
いう論文を書きましたのでもしご興味あれば。
要旨は下記です。
http://www.kyorin.co.jp/kbs/2002/1816.pdf
森さんへ
コメントありがとうございます。
論文の要旨だけ拝見しましたが、エンターテイメント事業ではコンテンツは所詮商品に過ぎないという話、大変頷けます。
フジテレビの亀山さんが、映画を芸術作品として制作するのでなく、ビジネスの道具として割り切って制作したと語っていたのに相通じるところがあると思います。