昨日の日経新聞にマイクロソフトが11月8日からウィンドウズ・ライブと呼ばれる新しいサービスを開始するという記事が出ている。SaaS(さーす)と呼ばれる新しいタイプのソフトウエア利用サービスが普及するかも知れないという内容だ。
ウィンドウズ・ライブというのは、マイクロソフトが電子メール、画像編集、地図情報などをネット経由で無償で提供するというものだ。さらに来年に入ってからは本命のワードやエクセルなどについても同様のサービスを提供開始すると書かれている。
これは、私のブログでも再三紹介しているグーグルのDocs&Spreadsheetsが引き金となって、マイクロソフトが対抗策を出してきたということであろう。10月3日に取り上げたものと同じサービスと思われる。
昨日の記事の中でも、OS市場の独占を背景に業務ソフト分野で高い収益を上げてきたMS(マイクロソフトのこと)の事業モデルは揺らぎかねないという、前回と同じ論調の取り上げ方をしている。
しかし、ことはそう単純な話ではない。というのも現在のPCの仕組みではどう頑張ってもデータのセキュリティー(安全性)が保証されないので、それに対する有効な手段という意味合いも持つ。
もう少し分かりやすく話をすれば、現在のPCではソフトウエア(たとえば、ワードやエクセル)もそのデータもすべてそれぞれのPC内に存在することを前提に仕組みが出来ている。そうであるが故に、PCそのものを盗まれてしまった場合のデーターのセキュリティーには限界がある。たとえパスワードをかけていたとしても、そのパスワードが解析されてしまえば、データは丸裸である。あるいは、ハードディスクの内部構造を理解していれば、たとえパスワードを知らなくてもデータを読み取られてしまう可能性がある。
それに対して、今話題になっているネットワークでソフトウエアを使う仕組みは、ソフトウエアだけでなく、データそのものもサーバーあるいはネットワーク上に置くので、PCを盗まれただけでは、PCの中にはデータが入っていないので、盗まれようがない。
これが今、この方式が大きく注目されているポイントである。
このSaaSの副次的効果として、ソフトウエアを利用できるウエブブラウザさえ搭載していれば、ソフトウエアは積んでいなくてもよいことに留まらず、OSさえ何でもいいということになる。これがMSを恐がらせている最大の理由である。これが普及するとオフィスソフトだけでなく、Windowsすら不要になってしまうのである。あるいは、携帯電話で済むことになればPCすら不要になってしまう。それを防ぐためには、ネットワーク上でも、現オフィスソフトを標準ソフトにしてしまうことが一番である。そう考えて、ウィンドウズ・ライブを導入したと考える合点が行く。
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