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プロ野球のビジネスモデル

以前Jリーグとプロ野球は実は競争していないという話を書いたが、今日はプロ野球のビジネスモデルの話である。

10月23日付の朝日新聞に、「クライマックスシリーズを振り返って(下) 大入りホクホク 視聴率パいま一つ」という記事が出ていいた。パリーグは第1ステージのロッテ・ソフトバンク戦も、第2ステージの日本ハム・ロッテ戦も最終戦までもつれたために大きな盛り上がりを見せ、特に第2ステージの日ハム・ロッテ戦は5試合すべてで札幌ドームが満員になり毎試合4万2222人の観客を集めたと書いてあった。5日間で21万人を動員したことになる。恐るべし、北海道の日本ハムファンである。日ハムの球団社長は1日1億円の売上が上がって、ほおをゆるませたと出ている。

一方で、テレビ視聴率ではセリーグのクライマックスシリーズは大成功だったが、パリーグは10%も行かず、苦戦したと出ている。特に一番盛り上がったはずの日本ハム対ロッテの最終戦エースのダルビッシュと成瀬の投げ合いの試合が8.3%しか行かなかったそうである。
このあたりにプロ野球のビジネスが簡単ではない証拠が表れている。というのも、サッカーのJリーグであれば仮にテレビ放映がなくても、競技場が満員であれば球団としては十分成功と言える。ところがプロ野球の場合は、球団の収入が潤うだけではビジネスモデルとしては不十分で、親会社の広告効果が上がることは最重要となる。具体的にいえば、単に球場が満員になるだけではなく、テレビで放映されて、なおかつ視聴率が10%を超えないと成功とは言えない。もちろんテレビで放映されるかされないかで親会社の広告効果は大きく異なるが、仮に放映されたとしても10%以下では広告効果が限られる上に、そうした番組はやがて消えてなくなるからである。

純粋に球団の黒字経営が目標になるJリーグと、親会社の広告効果や相乗効果が見込めないと意味を持たないプロ野球のビジネスとしての違いがこうしたところにも表れている。

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