先月19日の日経新聞「新風シリコンバレー」というコラムに日米のロボット開発の姿勢の違いが取り上げられていておもしろかった。
シリコンバレーにある「エニーボッツ」という会社ではモンティという家事をこなすロボットが開発中と紹介されている。
CEOのブラックウェル氏によれば、日本では踊ったり、楽器を弾いたりと娯楽性の高いのロボットが注目を集めているが、彼は「人間を単純労働から解放する家事ロボットこそ世界を変える」と言い切る。
さらに「ロボットは友達にはならない。退屈な仕事を任せ、その分、人間は人間とのつきあいを大事にすべきだ」と主張する。
日本ではホンダのアシモやトヨタの踊るロボットが注目を集めているが、彼はそこにはニーズがないと思っているようだ。あるいは単に技術力で日本のメーカーにかなわないから、家事ロボットに逃げているのかも知れない。しかし、技術ではプレイステーションにかなわないので、使い方で勝負してソニーを負かした任天堂のDSやWiiに似た話だなと感じた。
もちろん日本のメーカーも楽器が弾けて、踊れるロボットを開発することが最終目標ではなくて、病人や高齢の人間を補助できるロボットや工場で人間の労働者の代わりが務まるロボットを開発しているとは思います。でも何となく、メカの技術重視の考え方で、かつて洗濯機や掃除機が主婦の家事を楽にしていったのとは進んでいる方向性が違う気がします。
私は、生産現場でのロボットや健康でない人が健常者のように動き回れることをサポートするロボットについては、進歩のイメージがわきますが、健常者をさらに楽にするロボットがどこに行くのかは、あるいは行ってはいけないところがどこにあるのかよく分かりません。
個人的にはメカには興味があるがロボットのペットには興味がない。ペット型のロボットが結構売れているという話を聞くと、飽きが来ないのかなと心配になる。じゃあメカは飽きが来ないのかって?もちろん、飽きます。でも飽きたら、メカは取り替えればいいけれど、ペットだったらそうはいかないでしょう。それとも、簡単に取り替えられるからメカのペットや友達がはやるのかな?
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内田先生
ご無沙汰しております。先生の国際マーケティング論をAG大で受講しました平河内です。
なかなかコメントできずすみません。
今回拝見して、うちのカミさんが茶の間にいる時の口ぐせ
「ロボットがごはん作って運んでくれればなぁ~」
「ここにお風呂がグウィ~ンって出てきたらいいのに」といった、まあ単なる怠け言葉というか、空想の世界というか、を思い出しました。関連付けるにはちょっと無理の有る話ですみません。
でも、主婦の方々の“あれがあったら”“これがこうなったら”といった発想からヒット商品が多く生まれてもいるので、何となく聞き流せない今日この頃です。(15年後位には実現しているでしょうか・・・)
もうすぐ弁慶橋付近はとてもよい季節になりますね。また拝見します。
はじめてコメントします。早稲田MBAでお世話になってます。
10 年ほど前に Robotics で有名な米国の大学のコンピュータサイエンス学部に派遣されていたことがあるのですが、そこで聞いた日米の Robotics のアプローチの違いは、
「日本は動くロボットを実現しようとするのに対し、アメリカは考えるロボットを実現しようとする」
というものでした。メカトロニクスなアプローチを取るか、人工知能的なアプローチを取るかという風な見方だそうです。日本がメカトロニクス的アプローチを取るのは、製造業の現場の自動化の要請が強い(自動車の塗装吹きつけロボットなど)のと、鉄腕アトムの刷り込みの強いからじゃないかな、と Robotics の先生が言っていました。
アメリカの文化でロボットといえば、スターウォーズのロボット達が思い浮かびますが、彼らの存在はアメリカのロボット達の位置づけにどれくらい影響しているのか、と今回のニュースを読みながら、ふと感じました。
平河内さんへ
コメントありがとうございます。
以前紹介したからくり人形には、茶運び人形というのがあり、お茶を運びます。これが300年も前に開発されていたというから、日本の技術はすごいですね。
平河内さんのコメントを読んでいてルンバというお掃除ロボットを思い出しました。留守の間に1-2時間かけて部屋の床を掃除しておいてくれるという円盤形のロボットです。
ayustetyさんへ
コメントありがとうございます。
日本は動くロボットを開発するというのはよく分かります。一つは物作りの現場で活かしたいというのが発想の原点にあると思いますし、手先が器用なので、メカトロニクスに行くのだと思います。
なるほど、スターウォーズのロボットは日本のロボットのイメージと違いますね。
私は、鉄人28号が大好きで、正太郎君になって操縦がしたいです。