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客を見て驚いているようでは、そのコンサルに先はない?

今週号の週刊東洋経済収録のプロゴルファー青木功のコラム「全米オープンの月に思うこと」がおもしろかった。

冒頭でアマチュアとプロの違いを語っている。アマチュアゴルファーがアメリカで毎年6月に開催される全米オープンをテレビで見て、そのラフの深さ=難しさに驚き、次のような質問を青木にするらしい。

「初めて全米オープンに出たとき、コースを見て脅威を感じませんでしたか」

それに対しての青木の答えがふるっている。
「そりゃ、日本のコースで休日の楽しみとしてゴルフをしている人から見たらそう思うかも知れませが・・・、海外のトーナメントで戦ってみたい、そう思うプロが全米オープンに出場するのですから、覚悟ができているというか、コースを見て驚いているようでは、その選手の先が見えてしまいます。」

その通りである。仕事でもスポーツでもやる以上は覚悟が必要だし、やり始めてから相手がこんなに強いと思わなかった、環境(コースや競技コンディション)がこんなに悪いとは思わなかったは通用しない。それも含めて実力の内である。

したがって、仕事がうまくいかなかったときに、これらの環境や予想以上に相手が手強かったことを理由にあげる人間は大成しない。自分の至らなさを理解した人間だけが成長し、やがてどんな相手にもびびらないビジネスパーソンを作り上げる。

言い訳は人を育てない。

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コメント

    • hera
    • 2010年 5月 26日

    どうも。
    コンサルタントが持つ仮説思考でクライアントやプロジェクトを見通す。ってことでしょうか。
    タイトルがあがるにつれて、仮説の精度が上がる。トップファームのパトナーになると、プロジェクトスタート時にはすでに最終報告がイメージできていると聞きますが本当なのでしょうか。
    ちょっとした疑問なんですが、「正直きつかったね」と反省し、なぜスタート時に気づかなかったのだろうと考えることが大切なのでしょうか?
    それとも別の示唆が?
    正直、書かれていることから何を得ていいのかわからず。( ̄Д ̄;;

  1. 昔は驚きまくっていた気が。。。(笑)
    驚くか驚かないかというより、環境や相手のせいにするのか自分の至らなさに目を向けるのか、というのが議論の本質でしょうね。
    自分自身の真の声は絶対にごまかせないし、ごまかしてはいけない。
    僕自身は健全に驚くことも必要かなとは思います。状況を敢えて矮小化してとらえちゃう人も結構いるので。でも、チャレンジの大きさをちゃんと認識してそれでも前に踏み込む覚悟を持っているかどうか、が本当に問われる事かと。(プレッシャーがかかる中で前を振り向こうとするFWかすぐ後ろにパス出しちゃうFWか、みたいなものですかね)
    そうやって"その道"で研鑽を積んでいけば、途中から大概の事に驚かなくなる自分がいつの間にかいる、というもののような気がします。

    • 五十嵐豪
    • 2010年 5月 26日

    おそらく、「見栄でその世界に入るのではなく、本物であれ」ということではないでしょうか。
    「テクニックのお披露目式がしたい」のか、「バランスの崩れたところを建て直し、世界の調和を取るといった、何らかの信念の元にコンサルタントたらんとする」のか・・・後半は私の思いです。
    ですので、人それぞれの”本物”があると思います。

    • しんいち
    • 2010年 6月 04日

    以前もコメントさせていただいた同業他社の者ですが、是非コメントさせていただきたく思いましたので失礼します。
    実は最近社内で同僚と似たことを話しておりまして、多少青木さんの意図とはずれるとは思いつつコメントさせていただきます。
    我々の仕事の本質は、自分たちの経験値ベースを大きく越えた領域の依頼が来たときに、如何に自分の思考(他人の思考を取り込むことを含めて)や他の領域での経験値などを総動員しながら、解を導く思考のプロセスに一定の枠組みを与えて行くか、ということにあるのかと思いますが、青木さんのおっしゃっていることは「知らないくらいで騒いでるならレベルが低すぎる」ということに他ならないのだと理解しました。
    (別に情報を集めることを否定しているわけではなく、知れるのであれば知っているなりの、知らないのであれば知らないなりの対応が出来るはず、ということを言っているだけ)
    プロとしては、当前に確認できるのであればありとあらゆる手段をつくして情報を集めるべきでしょうし、それが出来ないのであれば、そこからが本当の器が問われる領域なのだと思います。
    それはモノの見方であり経験であり、形式知化し辛い領域ではある反面、最もこの仕事における本質的な適応能力というものが問われる領域ではないか、ということを思ってます。
    僭越ながら一ファンとして申し上げると、内田さんの一連の著作物の秀逸な点は、こうした筆舌に尽くし難い本質を、地に足をがついた言葉を使いつつも見事に言語化している点にこそあり、この点こそ私が真似していきたいと思っている領域ではあります。(私の言語能力の限界を感じましたが、想いを感じ取っていただければ幸いです)
    いろいろな事情があるので難しいとは思いつつも、いつか内田さんとお話をすることが出来たならばよいなと思いながら、日々の業務に励んでおります。
    えーと、、、すいません、ファンレターと思っていただければ。

    • 内田和成
    • 2010年 6月 08日

    コメントいただいた皆様へ
    このコラムは舌足らずで誤解を招いた部分もあるようです。
    私が言いたかったのはプロたるもの客の前でビビるようでは、ダメでそれでは素人と変わらない。あらかじめ胆を据えて、客前に出ろという意味でした。
    一方で、客からの発言や現場からは学ぶことが多いはずで、それらに素直に耳を傾け、目を見開くのは当然のことで、そこでは驚きや感動もたくさんあるはずです。

    • 内田和成
    • 2010年 6月 08日

    しんいちさんへ
    私は誰とも付き合うようにしていますので、何かありましたらいつでもどうぞ。

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