本日より、書店に異業種競争戦略が並び始めました。
おかげさまで、アマゾンでは順調な売れ行きを示していますが、書店でどれくらい熟れる柿になるところです。(売れるか気になるところですの誤変換があまりにおもしろかったのでそのままにしてみました。私は日本語変換にATOKを使っていますので、残念ながらマイクロソフト標準のIMEでは再現できないと思います)。
ところで、一月ほど前の日経交遊抄(最終面のコラム)に脚本家の野上龍雄という人が映画監督の蔵原惟繕のことを偲んで書いたコラムにこんなことが書かれていた。
それは、野上氏が南極物語のタロ、ジロの犬の気持ちを映像化するためにどのような脚本を書こうか悩んでいた時の話だ。人は犬ではないから、犬に託した人の気持ちは書けるが、犬の気持ちを書くことは出来ない。それを悩んでいた野上氏に対して、蔵原氏が「極地に置き去りにされた犬たちがオーロラの光を浴びて放浪している絵が撮れればそれでいい」と言ったの痺れたとあります。
私も常々言葉にならない、あるいは理屈では表せない経営の一局面をどのように説明したら、分かってもらえるのか、あるいは意思決定につなげる判断が出来るのか苦労してきたので、すごくよく分かる。
別の言い方をすれば、写真家が一枚の映像を切り取るようにコンサルタントも一言で、あるいはせめて一文で、経営を切り取ることを心がけている。それを実現するために、写真家が何千ショットをとる代わりに我々も何千回とトライする。もし一つのプロジェクトで一枚のベストショットが撮れれば、それで上出来といえるくらい、難しいことでもある。
ある一面を切り取ることの難しさと、うまく行ったときの快感、これがあるからコンサルタントはやめられない。
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zuKaoでございます。
早速拝読させていただきblog記事を書かせていただきました。
ビジネスモデルという言葉は会社でも頻繁に耳にするのですが、「その意味(または本質)」を考えて使っている人は少ないように思います。
私自身も常に意識ができているという訳ではないのですが、意識的に「ビジネスモデルの構成要素」を振り返るようにしています。
zuKaoさんへ
早速本を読んでいただいて、ありがとうございます。
またアマゾンの書評も書いていただいたようで、うれしく思います。
おかげさまで、売れ行き好調で、早くも増刷が決定しました。これもブログの読者のおかげと感謝しています。
内田さんのブログに出てくる蔵原惟繕のように、「一言で切り取る」ことでクライアントのチームのみなさんの霧を晴らすことができるコンサルタントでありたいものです。
このエントリーに心を動かされ、先ほどAmazonで購入しました。先生の授業で楽しませていただいた「異業種格闘技」の話が出てきそうで楽しみです。
及川さんへ
ご無沙汰です。
本を読んだら、感想も寄せてください。
内田先生、ご無沙汰しております。
昨年、大隈塾5期でお世話になった者です。
ランチ時に、先生のブログで新書の情報を得て、その場でiPhoneからAmazonのサイトで購入させて頂きました。発売日にはしっかり自宅に届く素晴らしさに感動するばかりです。
「消費者視点で事業連鎖を考える」のくだりが、商いの本質を突いているなあと感銘を受けました。
私の日常の仕事はビジネスサイドではありませんが、久しぶりにワクワクして、当社の属する業界の事業連鎖や当社の新たなビジネスモデルの検討を自由研究的に始めました。
頭の整理ができると、意外と素人視点のアイデアが思い浮かぶもので、「異業種競争戦略」を片手に楽しんでいます。
機会を見つけて、経営層にぶつけてみたいなと思っています。
12月の忘年会では、また内田先生にお会いできるのを楽しみにしています!本を持っていきますので、またサインして下さいね。
そういえば異業種競争戦略
内田和成さんの「異業種競争戦略」を読んだ。 内田さんの本は、「仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法」を読んだときにも感じたのだが、今日的な現場で戦略コンサルティングの実務に携わっている人々のリアルな「頭の動かし方」を、不要な専門用語や派手なフレームワーク…
本を拝読しました。
今日的な現場で戦略コンサルティングの実務に携わっている人々のリアルな「頭の動かし方」を、あそこまでわかりやすく説明されている文章を拝読し、豊富なプロジェクトの経験を通じて「本質」を深くご理解されているからこそできる技だと感銘しました。
個人的には、「パラダイム・シフター」と「ゴッド・ファーザー」の連携モデルが、最近インプリのフェーズに入ったプロジェクトを見ている中で大切だなぁ、と感じております。両方を兼ねられる人はそれほどいなくて(特に大企業)、この両者が揃うかどうかが、戦略シナリオの実行フェーズの成否を分けている気がします。
それではまた。
S.Hさんへ
本の感想ありがとうございます。
異業種競争戦略の本は、難しいことを易しくのモットーで書きました。
従って、文章はわかりやすいと思いますし、事例も皆さんが知っている事例を中心にしましたが、それは理解を深めてもらうためです。
従って、S.Hさんのように自分の業界に当てはめて使ってもらうのが、本当にうれしいです。
ありがとうございます。