ある人から勧められて読んだ本がスペインのサッカーチームの経営者だったフェラン・シリアーノという人が書いた「ゴールは偶然の産物ではない」だ。
著者はサッカー選手でもなければ、サッカー業界のベテランでも何でもない、どちらかと言えばビジネスマンであり、コンサルタントだった人だ。
その彼が、サッカーに科学的経営を持ち込んで、FCバルセロナを再び輝かせることに成功した。
昨年のFCバルセロナは6冠に輝いたことで知られているが、その基を作ったのが彼らだったようだ。
彼の本は冒頭の方にバリューチェーン(価値連鎖)が出てくる。まるでビジネスの教科書だ。
いくつかおもしろいコメントを引用しよう。
「どの業種の経営者達も、自分たちの業界は他とは違うと主張する。」
これはコンサルタントをやっているとすぐ遭遇するコメントだ。実際には大して違わない。
「日本の市場は非常に重要だ。一週間遠征し、日本を含む数カ国で試合を行うと、およそ500万ユーロ(7億円くらい)稼ぐことが出来る。」
他にも
「チームにはキャプテンが必要だ。キャプテンというのは、チームのリーダー(監督)を助ける役目を持ったメンバーの長であり、主な任務はリーダーの指示や価値観をチームに伝え、率先してその範を示すことだ。」
まるで普通の組織のマネジャーの役目ではないか。
7章イノベーションと終章はサッカーには直接関係ないが、とても為になった。
たとえばこんな言葉が載っている。
「こうした状況の時にありがちな反応は、複雑に思える問題のすべてに複雑な解決策を見いだすことだ。」
ウーン、論点思考に引用してあげれば良かった。
この本はサッカー好きなら絶対読むべきだし、サッカーに興味がなくても異質な業界や異質な文化を持つ組織をマネジメントすることに興味があるなら必読の書だ。
昔、BCGの同僚の御立さんに勧められて読んだ「マネーボール」を思い出した。アメリカの金のないメジャーリーグ球団オークランド・アスレチックスを低予算で常勝軍団に変身させた話だ。「ゴールは偶然の産物ではない」の中でも引用されている。今ではスポーツマネジメントの古典的名著である。
最後は宣伝です。
来る2月19日(金)に幕張メッセでグローバルフットボールスポンサーシップセミナーというのが開かれますが、そこでイングランドプレミアリーグの強豪チーム「リバプールFC」の方と対談をします。本場の人とサッカービジネスについて語れるのは大変楽しみです。
昨日の日経新聞朝刊に告知が載っていました。
サッカー、とりわけプレミアリーグに興味がある人は是非きてください。
ちなみにプレミアリーグは今世界中で一番成功していると言われているサッカーリーグです。
申し込みは以下の通りです。
http://www.adnet.jp/nikkei/innovation/20100219.asp
締め切りは今日(2/11)のようです。
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