夏川草介さんの書いた「神様のカルテ」を読みました。
話題になっている本らしくあっという間に読めるのですが、こんなに読後感がすっきりする本も久しぶりかも知れません。何か学ぶものがあるわけではないのですが、主人公が素敵です。
たとえば自分の担当の患者さんが亡くなった後に、何もしてやれなかったことを悔やんでいる主人公がつぶやく台詞がいい。
「そいつは、時々忘れたころに私のもとへやってきては、私の自信に鉈を打ち込み、足元を震わせ、感傷という名のなんの建設性もない物思いに私を引きずり込む。」
あるいは優秀な看護師である東西女史との、全くかみ合わない会話で有りながら心は通い合っているやりとりに思わずほほえんでしまう。
本当に軽い中にもペーソスにあふれた良い本だと思います。癒されたいときにもお薦めです。
以前恩師の嶋口先生に勧められて読んだお医者さんのエッセイ「医者の心、患者の心」(佐藤英一)に通じるものがある小説でした。
でもこちらのエッセイは本当に泣いてしまうので、読む場所には注意してください。
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